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2014年05月30日

研修報告

2014年度日本自治創造学会研究大会報告書

1研修期間  平成26年5月22日(木)~23日(金)
2研 修 先  明治大学アカデミーコモン棟3階 アカデミーホール
       (東京都千代田区神田駿河台1-1)
3主  催  財団法人 日本自治創造学会
4研究テーマ 「変わる地域社会、変わる自治体・地方議会~自治、自立、分権~」
5研修内容
〇第1日目 5月22日(木)
(1)会長講演「見える議会、分かる議会-参加型議会への展望」
    講師 中邨 章(日本自治創造学会会長・明治大学名誉教授)
 主な内容は次のとおり。
■議員報酬と定数:課題の検討
・様々な議会改革が展開される中、議会報告会は関心を持って取り組まれているが、報酬と定数については取り組み方が弱く関心も薄い。何が問題か、どうすればいいのかが検討のポイントである。
・諸外国では、地方政治の課題はごみ処理、道路、税の徴収という3つであるが、日本では全てを行うので、議員定数が削減されると監視機能に問題が出る。報酬と定数の問題の共通する特色は次のとおり。
 ①報酬は下げても、住民は高いと言う。
 ②定数を削減しても、住民は多いと言う。
 ③所得保障がない中、優秀な人材を確保できるのか。
 ④行政活動が幅広い中、少数の議員でどう監視するのか。
 ⑤地方議員は個人商店なので、選挙資金は自分で調達する。落選すれば、自分の負担となる。
■地方議会の議員数と代表率、人口規模と定数の相関関係
・全国の市議会の議員実数は20,123名で、平均議員数(811市)は24.8名であり、5万人未満では18.7名、5万~10万人では22.4名などである。
・代表率(一人の議員が何人の人口を代表するのかを示す割合)ベスト3は次のとおり。
 1五条市  15名/34,494人=2,299人
 2日向市  22名/63,676人=2,894人
 3木更津市 28名/131,586人=4,699人
  アメリカでは、議員一人当たり対人口比は、ロサンゼルス市256,000人、ニューヨーク市165,000人、ニューストン市161,000人、シカゴ市57,000人で、大都市の横浜市の43,123人と比べても、日本の議員数はアメリカより定数が多いが、一人当たりの対人口比は小さく、その意味で濃密かつきめ細かい代議制と言える。
■議員報酬と人材確保の問題
・811市の平均報酬:議長51.2万円、議員41.7万円
・議員の平均報酬(58.9歳、年額)500万円、国民平均所得594万円、地方公務員(43歳)460万円→低い議員報酬の是正と人材確保が課題である。
■報酬と定数の連動
・犬山市の例から
 定数20名、議員1人の年収590万円、報酬総額1億1800万円で、これを上限に報酬を800万円にアップすると、議員定数は14.8名となり、現行より5減の定数となる(予算額を一定とした場合の試算)。
■議会人になることへの壁と勇気:検討事項
・議員のリクルート(40代の参加促進)
・兼職、兼業の緩和(サラリーマン議員の可能性)
・「職業としての政治」の定着
・所得保障(報酬の低さ)
・退職保障(年金制度の見直し)
・女性議員の増加
・「個人商店」からの脱却
■関心を呼ぶ議会への道
・議会審議の工夫-住民目線の議会審議
 議題配布、託児所、車イス、議事の解説
・関心度の高い施策の検討
 住民向け条例の策定(安全安心のまちづくり、高齢化社会への対応、地域経済の活性化)
■これからの議員像
・国、首長に立ち向かう議員
・“Look Around”=外部志向の強い議員
・ICTを駆使できる議員
・勉強する議員、族を目指す議員
・若さを保つ議員、女性・子どもに優しい議員

(2)講演「消費税アップと地方財政の行方」
    講師 宮脇 淳(北海道大学大学院教授・前地方分権改革推進委員会事務局長)
 主な内容は次のとおり。
■消費税増税の基本スキーム
①社会保障目的税化(年金、介護、医療、子育ての4経費に充当)
②2015年10月に10%税率に引上げ
 ・国分6.28%
・地方分3.72%
  ・地方消費税2.2%は柔軟に使える。
  ・地方交付税分1.52%は使途が限定されていないが、どういう使い方ができるか、使った後でチェックするのかなど交付税の性格が変化する可能性がある。
 ・増税額地方分10兆円(地方消費税5.9兆円、地方交付税4.1兆円)
③社会保障改革の安定財源確保と財政再建の同時達成
 ・増税額13.5兆円(社会保障の充実2.7兆円、社会保障の安定10.8兆円)
④2014年度地方財政計画と消費税増税
 ・83.4兆円のうち一般財源は60.4兆円で5年連続1%増、真水分(不交付団体分を除く)では59兆円。
 ・消費税増税分では6千億円
⑤問題点
 ・本年1月~3月のGDPは前期比1.5%の伸びで、年率換算では6%となるが、企業の設備投資や機械受注など持続性があるかどうか、見極めが必要である。
 ・地方財政計画における財源不足額は10.6兆円、前年比20%の減で財源不足額は減少しているものの、2015年度以降も社会保障一体改革が貫けるのかどうか。
 ・消費税増税は地方交付税制度の本質に関わるスタートラインで、同制度の再議論が必要である。
■消費税増税と行政コスト等
①地方自治体の行政コスト等の見直し
 ・上下水道や公立病院等公営企業会計分の支出増加、文化会館等の使用料、公共サービス等の委託料等行政コストの見直しが求められている。
 ・暮らし向けの改善ではなく、負担が重くなるというのが国民の意識。
 ・負担をどう転嫁するのかは政策判断であり、政策力の差が出てくる。
②地方交付税の問題
 ・地方交付税は交付団体の財政調整と財源調整を目的とするものであるが、成果指標が導入されるなど国の政策誘導の是非が問われ、交付税の本質に関わる問題がある。
 ・財政調整、財源調整の制度は、今までと同様に自治体間の対立が深刻化する問題がある。
 ・自治体間の財源保障機能としての垂直型調整(ナショナルミニマムの調整)をどのように制度設計するのかが問われている。
■質疑
問 地域間連携としてのシティビジョンはどのように進めるのか。
答 現行制度の広域連合などでは機能せず、限界がある。新しい制度設計が必要となる。
問 地方交付税は自治体間で格差があるが、その是正は。
答 個別自治体ごとのチェックは行われていない。国はマクロベースの議論しかしない。個別自治体で総合行政をフルセットでできるのか。現状は規模の小さい自治体の方が交付税は厚くなる。圏域の中で、役割分担の仕組みを作ることが必要である。

(3)講演「国家戦略特区の創設-成長戦略の基盤、規制改革の突破口として」
    講師 藤原 豊(内閣官房地域活性化統合事務局次長)
 主な内容は次のとおり。
■「国家戦略特区」の検討経緯(2013年)
  4/17 産業競争力会議において、民間議員が「アベノミクス戦略特区」構想を提案、新藤地域活性化担当大臣がこれに呼応
  5/9  「国家戦略特区ワーキンググループ」発足、制度設計へ
  6/14 「日本成長戦略」(閣議決定)において、「国家戦略特区」の創設を決定(学校公設民営、外国人医師の受入れ促進など6項目を提示)
  8/12~9/11 民間、地方公共団体からの提案受付(242団体(民間181、地方公共団体61))提案は国が使う前提で公募
  12/7 国家戦略特別区域法案の成立
  12/13 公布・施行
■「国家戦略特区」制度の概要とポイント
 ①対象となる「規制改革事項」:6項目
  ・都市再生まちづくり:容積率、用途等土地利用規制の見直し、エリアマネジメントの民間開放(道路の占用基準の緩和)、滞在施設の旅館業法の適用除外
  ・教育:公立学校運営の民間への開放(公設民営学校の設置)
  ・雇用:雇用条件の明確化、有期雇用の特例
  ・医療:病床規制の緩和、保険外併用療養の拡充(混合診療)など
  ・歴史的建築物の活用:古民家等の活用のための建築基準法の適用除外等など
  ・農業:農業委員会と市町村の事務分担、農業生産法人の要件緩和など
 ②国家戦略特別区域の概要(案):6地域の指定
  ・東京圏:国際ビジネス、イノベーション拠点
  ・関西圏:医療等イノベーション拠点、チャレンジ人材支援
  ・福岡市:創業のための雇用改革拠点
  ・新潟市:大規模農業の改革拠点
  ・養父市:中山間地農業の改革拠点
  ・沖縄県:国際観光拠点
  *第二次指定は未定だが、年1回は全国でアイディアを募集する。
 ■現状及び今後の課題など
 ①「国家戦略特区諮問会議」の立ち上げ・運営:4回開催、基本方針の策定、区域及び区域方針の策定
 ②特区ごとに「区域会議」の早期立ち上げ:組織の在り方の検討、追加の規制改革の抽出、新たな規制(岩盤規制等)の改革実現
 ■質疑
 問 アイディア募集はいつ行うのか。
 答 第二次指定は未定だが、区域会議の立ち上げを急ぎたい。
 問 どう評価するのか。
 答 特区は地域を限定し実証実験を行うもの。指定解除も含めて区域会議で評価する。
 問 農業特区において、2年での農地集積は無理ではないか。成果が心配。
 答 スピード感を持って行うが、2~3年のものではない。5年以内の開始とか区域により長い目で考える。
 問 TPPと国内法の関係で、規制が外れるのか。
 答 特区は一つの手段、できることできないことなど総合的に政策化する。地域で先行して行うのが特区の精神である。

(4)講演「公有財産老朽化への対応-自治体(首長・議会)に求められる課題」
    講師 根本 祐二(東洋大学経済学部教授)

 主な内容は次のとおり。
■インフラ老朽化問題の実態
・1970年代、急激なインフラ整備が行われ、50年経過する。2020年代に老朽化による更新需要が起こり得る。これは全国共通の問題である。
・放置すれば、物理的崩壊が起きる(東京九段会館の天井崩落、中央道の笹子トンネル天井崩落、道路の陥没など)
・更新のため、無理に借金すれば財政は破たんする。
・現在のインフラをそのまま維持するだけでも年間8.1兆円を要する。8.1兆円を確保しようとする政策から、8.1兆円を使わずにすむような政策へ。
■3階層マネジメント:公共施設の利用者の範囲によって3階層に分けて、機能を維持しつつ負担は3割減とする。
①広域化:自治体全域に便益を及ぼす施設に対する処方箋
 ・病院企業団:中東遠総合医療センター(掛川市立総合病院と袋井市民病院の統合)
 ・一部事務組合:多摩六都科学館(多摩地区六市の一部事務組合)
②多機能化:校区単位の施設・庁舎に対する処方箋
 ・千葉県市川市立第七中学校を中核とした複合施設(中学校、給食室、公会堂、保育所の整備、PFI事業)
 ・埼玉県宮代町役場議場(議場、公民館、集会施設を兼用)
③ソフト化:民間に代替施設がある場合の処方箋
 ・三重県津市猪の倉温泉(公設温泉を民営化)
■公的不動産:広域化・多機能化・ソフト化の後の処方箋
・ヤマト運輸コールセンター:合併市の議場や廃校舎を転用(南魚沼市、名張市では公共施設を転用)南魚沼市では合併で不要となった議場をヤマト運輸に貸し出している。
■予防保全包括委託:土木インフラの処方箋
・府中市けやき通り周辺地区道路等包括管理委託:モデル的に駅周辺で実施
■インフラ長寿命化基本計画と公共施設等総合管理計画
・インフラ長寿命化基本計画:平成25年11月国が策定
・公共施設等総合管理計画(平成26年度~):地方が策定する。公共施設の除却に75%の財政措置。
■質疑
 問 公共施設等総合管理計画における75%の財政措置とは。
 答 特別交付税で措置をする。25%は自己負担となる。
 問 公有財産の老朽化を抱え、新しい投資は可能なのか。
 答 今あるものを統廃合すれば、新しい投資は可能となる。

(5)パネルディスカッション「変わる地方・変わる地方議会」
  パネリスト
   海老原 功一(流山市議会議長)
   清水 聖義(太田市長)
   曽根 泰教(慶應義塾大学教授)
   谷 隆徳(日本経済新聞編集委員兼論説委員)
  コーディネータ 佐々木 信夫(中央大学教授)
  主な内容は次のとおり。
■住民から何が問われているのか。
佐々木:30年後は市町村の1/3が消滅するとの予測がある。地方議会は地方政治の脇役から主役になるべきではないか。この間、約6万人の地方議員が今や3万5000人の少数精鋭になっている。住民から何が問われていると考えるのか。また今の議会の現状をどう見ているのか。
海老原:市民に開かれた市議会を目指し、議会改革に取り組んできた。市民との情報共有、議会の見える化、討論し行動する議会としたい。
谷:人口減への対応として、長期計画が必要。住民から見て、議会や議員が見えない、何をしているのか分からない、誰に投票していいのか分からない、地域固有の問題や争点が分からないという問題がある。議会は民意を吸い上げ、地域で何が問題となっているのかを発信すること。
曽根:議会改革で何をするのか。情報公開のケースでも、議会の情報公開は、首長とは異なる。行政情報をどう市民に公開するのか。高齢化とともに施設の老朽化をどうするのか。
清水:まちの資源、人的資源をどう有効に活用するのかという政策を作れるように。
佐々木:人口増時代の開発を支えた団塊の世代が定年退職し、住民税の減収、社会保障費の増加など自治体が成り立つのかが顕在化している。地方交付税では救済できない。構造的ニュータウン政策が崩壊している。
海老原:区画整理事業で、年間2千人が増加している。住民の意見をまとめるという地域性が大事。住民参加、議会と住民が話し合う。
■議会はどう変わるのか。
佐々木:議員は住民の民意に近い。なぜ施策、政策の提案をしないのか。なぜ国会をモデルとして議会は行動するのか。
海老原:流山市議会はこの10年間で4つ条例化している。
曽根:立法権はあっても行使をしない。大いに行使をすべきではないか。住民から議会の顔が見えるかどうか。集団プレイ、質問だけで終わらない工夫をしてほしい。
清水:行政のフル装備に対し、議会は対応できない。具体的に何をどうするのか、領域が異なる。
佐々木:全国一律にこうあるべきと決めていることは異常なこと。制度は一律で、まちは個性的という矛盾がある。制度の多面化が必要では。
曽根:多様性はあった方がいいが、多様性はどこから出て来るのか。
佐々木:民主主義のサイズによるが、例えば、大阪の場合、特例区として作り直す方がサービスにつながる。
海老原:議会報告会を年2回、4か所で開催している。住民の意見を参考に、4つの条例を策定した。前回から、常任委員会で報告会を開催している。
谷:議員が子どもたちに地方自治を教えてはどうか。中学生に議会を見てもらい、体験させることを考えてはどうか。

(6)新藤総務大臣スピーチ(要旨)
  ・地域の元気を日本の元気にしたい。そのためには工夫が必要。1798の自治体のうち5万人以下が7割、残りの3割に人口の8割が集中している。過疎地はますます弱体化している。
・補助金頼りでは衰退する。自分たちで工夫し自由度を高める制度になるよう、自治法を改正する。合併より、広域、圏域での定住自立圏の連携を考え改正する。アイディアを出してほしい。
・産学官金のイノベーションでまちづくりを。まちづくり交付金の活用をしてほしい。条件は、地域からの融資を受けること(交付金と同額)。地域の金融機関で溜まっている金を使って、民間での事業化を促進してほしい。これにより法人市民税が増収となる。
・規制改革、事務権限の委譲を進める。やる気のある自治体から提案を(手挙げ方式)。カギは「ICT」である。

〇第2日目 5月23日(金)
(7)講演「ICTの活用による地域経済の活性化」
    講師 猿渡 知之(総務省地域政策課長)
 主な内容は次のとおり。
■地域経済の現状と課題
・現状:公的年金収入と再配分された財政資金(交付金、補助金等)が支える。
・課題:東京圏をはじめ大都市部における高齢化率の急激な上昇→経済、財政の自立化の必要性の加速
・施策の方向性:地域密着型企業の増加、生産性の向上と地域全体での効率的なまちづくり(地元雇用、地元原材料、地元金融機関の融資)
■自治体とICT
①自治体の経営効率化=自治体クラウド(コンピュータの共同利用)の推進
 ・業務効率化のツール:各自治体独自のシステムは不要。徹底的な自治体クラウド化
 ・地域の情報発信のツール:自治体データのオープン化による公共クラウド
②経済活性化・地域経済の基盤=社会クラウドの推進
 ・企業、行政を中心に間接業務コストの圧縮→企業決済システムの共同化など
 ・住民の生活支援機能の高度化と低コスト化→予防医療・介護支援システムなど
 ・自治体圏域を超えた圏域全体での連携ツール→各公共施設を圏域全体で活用(オープン・リノベーション)
■ICTの活用による地域経済の活性化
①地域経済の現状と課題
 ・保険料、税収等の現状:保険料、税収が伸びない中、財源不足は国債で賄われている。
 ・資金循環の現状:金融機関の融資が進まず、余剰金は国債購入に当てられ、市中に金が流れていない。
 ・日本における柔軟性、流動性の低下:バブル崩壊後は、企業の廃業は増えていないが、新規開業が顕著に減っており、雇用の流動性と柔軟性の低下が見られる。
 ・地域経済イノベーションサイクルによる地域経済の成長:グローバル企業(製造業中心)の競争力強化、雇用吸収力の大きい地域密着型企業の新規立ち上げ
②自治体とICT
 ・自治体クラウド:地方公共団体の情報システムの保有、管理を、所有からネットワークを経由しての利用へ共同化、集約化する。
 ・地域経営型包括支援クラウド:公開型→データを民間企業がアプリなどで活用、民間事業支援型→介護共通アプリなど情報を共有化し業務の効率化を図る。
 ・公共クラウド:例えば、観光データを公開し、旅行会社などがその情報を活用し顧客の増加、地域経済の活性化を図る。26年度から観光情報の運用を開始し、順次追加する(公共交通情報、危険個所情報、環境情報等)
 ・自治体の経営最適化:例えば、税、給食費、水道料金などの滞納データを一元管理し共同システムでシステムの重複をなくす。
③社会クラウド
 ・データ構造の標準化の課題とその効果:医療統計情報データを用いた実証実験では規格に準拠したシステムを用いてのケース収集には有効だったが、各大学での病名が微妙に異なる場合があり、調整が必要である。
 ・金融決済基盤:金融決済などの共通する処理機能については、金融機関が有するシステム等を活用することで、低コストでの処理が可能となる。また、行政の財務管理システムは不要となる。
 ・公共施設のオープンリノベーションを核とした地域再生事業:武雄市のツタヤによる図書館の運営事業では公共施設の活用を民間に委ねることで住民サービスの充実、地域の活性化が進められている。民間利用によりコストから利益へ、地元企業と連携することにより雇用創出力が増加する。

(8)講演「アベノミクスと日本経済のこれから」
    講師 小林 慶一郎(慶應義塾大学教授)
 主な内容は次のとおり。
■アベノミクスの効果と課題
 ①三本の矢
  ・金融緩和:円安と株高による景気刺激効果
  ・機動的な財政政策:中長期の財政再建
  ・成長戦略:賃金上昇につながるか。
 ②3つのリスク
  ・デフレ脱却」が実現したら出口は?
  ・「まず経済成長、その後に財政再建」は成り立つか。
  ・成長戦略の「痛み」に耐えられるか。
■円ドルレートと株価の推移、GDP成長率
 ・2012年8月以降、円安、株高が好調で、GDP成長率もプラスに転じている。
 ・何が景気を引っ張っているのか。本年3月時点では消費が伸びているものの、消費税増税後の動向は注視が必要である。その対策としての公共がどう引っ張れるのか。GDPの牽引力である設備投資や輸出がマイナスで、プラスに転じていない。これらをプラスに導いていくことが成長につながる。
■デフレ脱却後の「出口」は?
 ・今は、海外資産より日本国債の方が魅力的で、国債が売れている。日銀が買い支えており、投資家も購入している。問題は国債の買い手が続くか否か。
 ・低金利のままなら、海外資産を買う方が得となり、国債を買う意味はなくなる。日本の銀行や投資家が大挙して国債を売り、海外資産を買う動きがいつ来るのか。その可能性はある。
 ・日銀が国債を買い支えれば、インフレの高騰となる。
 ・日本が高金利なれば、国債は売れるが、政府の負担は雪だるま式に膨張する。景気回復による税収増があっても足りない。高金利が暴騰し、厳しい不況になる。
■「成長戦略が先で、財政再建が後」は成り立つのか?
 ・国の借金は対GDPが220%で、「成長が先、財政再建は後」は成り立たない。
 ・公的債務がGDPの90%を超えると、経済成長が1%下がる。
 ・成長したくても、公的債務の重石のために成長できない。
 ・財政再建にも成長戦略と同時に着手すべきである。
 ■財政再建に必要なコスト
 ・外国の学者によると、2100年までに国債残高のGDP比を60%まで引き下げるのに必要な消費税率はシュミレーションすると60%とのデータがある。
 ・増税が経済に与えるコスト:2018~2020年頃に財政リスクが顕在化する。
 ・安定のための選択肢:消費税35%の恒久的増税
 ・包括的な政策プラン:2%のインフレ率、高齢者の医療費窓口負担20%、年金給付の代替保証(現役年収の半額)を外すこと、政府の経常経費の1%削減、消費税を段階的に32%まで引き上げること。
■財政の論点
 ・財政収支の穴:消費税換算で約30%、これをどうするのか。増税か、社会保障等の削減か、ハイパーインフレか。
 ・穴埋めしなければ、いずれ国債価格とインフレ率の調整が発生する。
■世代間のコミットメントは可能か
 ・財政再建とは「世代を超えた投資」:超長期の投資という政策課題
 ・現在世代:増税と歳出カットのコストを支払う。
 ・将来世代:財政破たんの回避というリターンを得る。
■結語
 ・アベノミクス:プラスの効果だがリスクも・・・
  ・デフレ脱却の出口で金利高騰またはインフレ高騰のリスクを回避できるか。
  ・「成長が先で、財政再建が後」という戦略は成り立つのか。
  ・痛みを伴う市場改革を成長戦略として実行できるか。
 ・日本の公的債務はすでに発散の過程
  ・消費税率30%分の財政ギャップ:どのくらいの期間で埋めるのか。やらなければマーケットが行う。
 ・世代間のコミットメントの不可能性
  ・世代間のコミットメントができない前提で社会の制度設計をするべきである。
 ・将来のいずれかの時点で財政破たんの危機:財政破たんに備えたプランが必要
 ■質疑
 問 1500兆円の預貯金を国は踏み倒すのか。借金の解消方法は。
 答 想像を超えるインフレ率になると公的借金の価値は下がる。実質負担が減となる。税収が増加し借金返済となる。
 問 成長戦略の考え方は。
 答 第1、第2の矢は時間稼ぎ。民間の成長がカギとなる。民間経済が力強くなるかどうかが課題。3年前、消費税30%を提唱したが、今ではこれを支持する発言が増加している。危機感は上がっている。
 問 財政再建のためには医療費のカットが必要では。
 答 レベルの高いシステムの良さを考えながら、医療費の削減は必要と考える。

(9)講演「地方議員の必須条件・変わる地方議会」
    講師 穂坂 邦夫(日本自治創造学会理事長・地方自立政策研究所理事長)
 主な内容は次のとおり。
■変わる地方議会
・2020年の五輪後に様々な問題が顕在化する。社会が大転換する。首長や地方議員はどう変わるべきか。
・定数や報酬の問題がある。議会の存続が問われている。住民一人ひとりがおかしいとの意識。
・高齢者の急増は、五輪後がピークとなる。
・人口面から市町村の消滅の問題があり、今検証作業をしている。いずれ自治体があっても住民がいないことになる。
・地方衰退の例として、「シャッター通り」問題がある。これをどう受け止め、商圏を考えるのか。住民は議会に何を求めているのか。地方議会は何をすべきか。議会の権能は変化せざるを得ない。監視機能だけではいけない。議会が変われば自治体が変わる。
・ここ15年間、地方に金が移っている。従来的な手法(建設事業、補助金)ではいけない。行政運営の自治体から事業体として何をすべきか。従来の横並び護送船団方式の行政運営から行政経営へ。
・政策機能は首長だけでなく、議会も政策機能を。議会の意見がバラバラではいけない。多数を形成し青写真を住民に示すこと。住民を挟んで、首長と対峙すること。
■地方議員7つの必須条件
①長期戦略力と短期戦略力「両立させる2つの力」:夢、未来図、課題の解決。地域をどう引っ張るのか。
②プレゼンス力と提案力「個性を活かす」:住民に自信を持って訴える。人柄が信頼を作る。
③職員コミュニケーション力「議員の特長と十分な意見交換」:包容力を持って職員の提案を聞く。一般質問は職員が議員を見る通信簿。職員の立場を理解する。職員を味方にする。
④会派マネジメント力「議員の特長と十分な意見交換」:会派内の議員の環境を理解し、議論をしっかりする。
⑤議会交渉力「損して得を取る」:どれが一番大事か、何を譲るのか。会派の意見は全部通さない。
⑥政治環境洞察力「必ず変わる中央政治」:政治環境は変わる。
⑦選挙常勝力「ビジョンと心と行動力」:住民要望は小回り良く処理する。即日実行。ビジョンがしっかりしていれば住民はついてくる。
■質疑
 問 人口過疎地で、出生は年間150人のまち。学校経営をどうするのか。
 答 近いうちに持たなくなる。教育はある程度の数が必要なので、効率化が求められる。
 問 首長が住民投票で民意を問うても、議会の民意とは異なる場合はどうするのか。
 答 首長は住民投票で民意を問う方法を取らざるを得ない。議会に懐疑的な部分があると、上手くいかなくなる。

(10)講演「教育委員会改革と首長・議会の役割」
    講師 村上 祐介(東京大学大学院准教授)
 主な内容は次のとおり。
■教育委員会制度改革と経緯
 ・教育再生実行会議第二次提言(2013年4月):教育長を責任者にすべきという提言
 ・中教審教育制度分科会での審議(2013年5~12月):教育長を責任者とすることに異論なし。首長を執行機関とする案、教委を執行機関とする案に2つに絞られる。
 ・2013年12月中教審答申:改革案(首長に決定権)、別案(教委に決定権)の両論併記
 ・自民党内協議で教育長・教育委員長一体化案が浮上
 ・4月4日「地方教育行政法改正案を閣議決定、国会の法案を提出
 ・6月法案成立見込み(2015年4月施行)
 ■地教行法改正案の論点と課題
 ①改正案の概要
  ・教育委員長と教育長を一体化した新「教育長」を創設し、首長が議会の同意を得て直接任命・罷免する。任期は3年。
  ・首長と教育委員会で構成される総合教育会議を新設する。総合教育会議は首長が主宰し、大綱の策定、重点的に講ずべき措置、緊急の場合に講ずべき措置について協議・調整を行う。
  ・首長は、総合教育会議で教委と協議を行い、教育の振興に関する施策の大綱を策定する。→教科書は教委、予算は首長の権限。総合教育会議が不調の場合はどうするのか。議会や教委の承認の規定がなく、グレーゾーンである。大綱を質すこと。
  ・児童生徒等の生命又は身体への被害の拡大又は発生を防止する緊急の必要がある場合に、文科大臣が教委に対して指示ができることを明確にするため、教育基本法第50条(是正の指示)を見直す。
 ②全体的な論点・課題
  ・「責任の明確化」と「政治的中立性・安定性・継続性」の両立を意図→両立は矛盾している。どうバランスを取るのか。
  ・現行より首長・教育長の権限が拡大
  ・法案はあいまいな面がある。特に「大綱」と「総合教育会議」→自治体間の差異が大きくなる可能性がある。
  ・首長の6割弱、教育長の8割強は、教育行政を首長から一定程度独立させておくべきとの調査がある。
 ③個別の論点・課題
  ・「大綱」とは何か。どこまで指すのか。教育振興基本計画との関連はあるのか。最終的には首長の専権事項なので、議会や教委の承認などチェック機能が必要ではないか。
・「総合教育会議」の運用:緊急事態を総合教育会議で協議、調整し、課題が解決する
のか。首長と教委の間で調整がつかなかった時どうするのか。開催頻度はどの程度想定されるのか。
・新「教育長」に関して:教育委員会による新「教育長」へのチェック機能が不十分ではないか。
 ■首長・議会の役割と期待したいこと
 ①首長と教育長・教育委員との円滑な連携・協力による教育行政運営
  ・総合教育会議を首長、教育長、教育委員の連携、協力を進展させる場とすることで、実りある地域の教育が実現できる可能性が高まる。
  ・首長は、自らビジョンを示しつつ、教育長、教委への支援をベースとした教育行政を行うことが望ましい。
 ②議会による教育行政への適切なチェック機能の強化
  ・教育行政への議会の関与の仕方は、議論が不十分であった。
  ・教育長、教育委員の人事同意の際には丁寧な審査を行うこと。例えば、候補者が議会で所信表明と質疑応答を行うなど。大綱的方針、首長及び教育委員会の職務執行に対するチェック機能の強化は求められる。
 ③喫緊の教育課題(家庭の教育費負担、教師の過重負担など)への対応
  ・家庭の教育費負担や子どもの貧困、教員の長時間労働と過重負担といった問題が現場には重くのしかかっている。こうした現実的な問題の改善が教育の質の向上につながる。政治の役割が重要である。
■質疑
 問 政治の問題を小中学校の勉強に入れてもいいか。
 答 政治に関することは教育基本法で認めている。特定党派でなければ、むしろ認めるべきで、意見が分かれるものは両論あることを教える。
 問 改革で子どもたちの教育環境はどうなるのか。
 答 緊急事態対応の問題がある。教育長が責任を持って行うこと。就学援助家庭など教委では解決できない問題もあり、いろいろな改革が必要。
 問 大津のいじめが改革のきっかけとなった。首長に権限が集中し、教育委員会が形骸化される。分権が進まないところに問題があるのではないか。
 答 分権が都道府県で止まっている。教育行政は、都道府県と市町村の関係なので、市町村に権限を下ろしながら、都道府県でも行う仕組みが重要である。
 問 大綱づくりへの議会の関与は。
 答 議会にとって、大綱の議論はやりやすい。議会の役割は大きく変わる。

(11)講演「東京一極集中と分権-課題と展望」
    講師 古川 康(佐賀県知事・全国知事会地方分権推進特別委員会委員長)
 主な内容は次のとおり。
■安倍内閣における地方分権改革
・事務権限の委譲:平成25年12月、48事務の権限移譲。平成26年、第4次一括法案上程、6月に可決見込み
・平成26年4月、「提案募集方式」を決定:自分の所でやりたいことを認めていく手挙げ方式。
■これからの展望
 ・有識者会議で恒常的に検討する。改革対象は全国から提案を募集する。手挙げ方式による権限委譲となる。
 ・岩盤規制にもじっくり取り組む。
 ・時間的制約を持たず、必要とする権限を必要な地域に移譲する。
■事例
 ①農地制度改革
  ・地方では土地利用の一環として、農地における開発行為をしたくても、農水省サイドは「優良農地の確保」から大臣協議を主張する。このため、国と地方の協議は時間がかかり、地域づくりの最大の障壁となっている。「農地確保」と「地方分権」の観点から、平成26年に農地法を見直し議論を本格化する。
 ②農地総量確保
  ・国は415万haの農地の確保を目標とし、都道府県に割り振っている。私案ではこれを市町村から積み上げて、国の目標としてはどうかと考える。
 ③農地転用権限
  ・現行制度では、農水省が4ha以上、都道府県は4ha未満であるが、私案では、自分たちの農地は自分たちで決めることとし、権限を市町村に移譲してはどうかと考える。
 ■道州制
 ・東京一極集中が続いている。東京圏に人口が増加している。
 ・合計特殊出生率を見ると、九州、沖縄で高く、都市圏は低い(東京は1.09)。
 ・東京中心の成長から多極化へ
 ・自民党は、道州制推進基本法案を国会へ提出:国民会議の設置が目的

(12)講演「東京一局集中の必要性と日本の将来」
     講師 市川 宏雄(明治大学専門職大学院長 公共政策大学院ガバナンス研究科長)
■はじめに
・世界の中で、日本はどうなるかを考える。
・東京一極集中は必要というよりも必然である。2005年、成長ありきではなくなった頃からそう感じる。
■課題の確認、今後の模索
・一極集中の是非を問うのはナンセンスである。状況確認と今後の政策の設定の模索が 不可欠
 ・日本の人口の推移は長期にわたる減少である
 ・日本の国土政策をどうするか
 ・グローバリゼーションの進展。経済構造の変化がある。
 ・国家運営の方向転換。バブル崩壊により必然である。取りうる政策のオプションは選択と集中が必要。
 ・これからの国家運営の方向とは何かを考えなければならない。
・日本の人口推移が減少することや構造変化することを考えていかなければならない。
・人口減少の続く自治体がある。
・日本の国土政策はもうない。
 ・太平洋ベルト地帯の発展から80年代東京集中へと変わる。
 ・日本は、製造業から、サービス業へと構造が変わった。このことで東京を全国にたくさんつくろうとしたことが計画通りにいかなかった。
・東京圏だけが伸びている。これからもそうなることがわかっている。
・地方圏と東京圏の人口割合は倍になる。
  1960年)地方1.5:東京1 2000年)地方1:東京1 将来)地方0.5:東京1
・東京圏だけは依然として人口が増加している。
・今まで中央政府、大都市、地方がうまく回っていた。地方が人材をつくり都市へ送り込む。都市がお金を生み出し、中央政府に納める。中央政府は地方に分配する。バブルの崩壊でこのシステムが機能しなくなる。
・所得税+法人税+消費税において、東京圏は増加(2001年29.8兆円→2006年35.7兆円)。地方圏は減少(33.4兆円→26.1兆円、三位一体改革の影響)東京圏から、地方圏へ地方法人特別税を入れている。
・日本では7割以上が、第三次産業が稼いでいる。経済成長への貢献度も第三次産業が多い。
・長野県飯田市 人口居住の動向を見る→駅から1km以内に集まってくれれば補助金をだす仕組みがある。集中してくれた方が、行政がやりやすい。コストが安くすむ。
・日本再興戦略→世界をひきつける地域産業、地域資源を考える。
・地域への自立への模索
・地方の活性化にはパターンがある。限界集落など、活性化が厳しいところもある。
・日本全体すべて頑張るではなく、①稼げない地方と②都市圏と③連携できる地方を分けて考える。
・太平洋ベルト=日本のエンジン 東京から福岡まで ここが開発の軸となる。
・2027年リニア新幹線開通すると名古屋もこれから東京圏になるのではないか。 
・九州、北海道は独自路線を歩むのではないか。関西、中国は不明 ブロック分けをしていく。
・道州制の区割りを見せるとみんな嫌がる。
■東京の課題 
 ・人口減少国家におけるエンジンの役割を。
 ・世界最大の都市圏3500万人ながら4位・・おかしい
   偏差値70以上の指標がいくつあるかで決まるため。際立ったものがないと上位に入れない。平均思考である日本には向いていない。
・東京の強み、弱み(一覧表あり。順位上げる方法はわかっている。)
社会資本の老朽化あり。地震がある。
日本のエンジンとしての強化(難しい均衡発展)
世界で一番ビジネスしやすい都市に
■古川康氏(東京一極集中反対)より
 ・世界で首都圏に集中し続けているところは韓国ぐらいではないか。
 ・消費税が足りない。25%になる可能性もある。北欧にみられる高い消費税率が成り立つ
国は、人口が1000万人以下である。納めたものがやがては返ってくるとわかっているから成立する。このような仕組みは人口が多いと見えにくくなり、難しいのではないか。
 ・議論が必要。
■市川宏雄氏(東京一極集中必要)より
 ・東アジアの国々が成長し続けている。日本は負けてしまうのではないかという危機感がある。
 ・東京は、海外からの投資を受け、世界から人、金を集められるかがカギである。東京が頑張ることは最低限必要と考える。
 ・議論していくこと必要。(方針があって、それに対し良いか悪いかという議論が必要である。「どうしようか」という議論では進まない。)

<所感>
 初めて参加した研究大会であった。テーマは、「変わるという改革」で、対象は地域社会、自治体そして地方議会。講演内容は地方議会の現状と改革課題、消費税と地方財政、地域経済の再生、公有財産の老朽化、ICT、アベノミクスと日本経済、教育委員会改革、東京一極集中を巡る問題等が学者、官僚、首長など一流の講師陣から熱く語られた。主な講演について、所感を述べたい。
 中邨会長の話を聞いて、住民から見て、議会は何をしているのか分からないので、定数と報酬の問題が常に出てくる。住民から見える存在であれば、これらの問題が生じることは少なくなるだろうと思う。その意味でも、個々の議員の資質や政策力の向上、住民と向き合う姿勢が問われるべき課題ではないかと感じた。
 宮脇淳氏の「消費税と地方財政の行方」は、まさに現在進行形の話であり、今そこにある危機の話であったが、地方財政の命綱である地方交付税がどのように改革されるのかの課題は、地方経済を大きく左右するだけに注視しなければならない。
 現役官僚の藤原豊氏の「国家戦略特区」の話は、アベノミクスの成長戦略の骨格であるので、興味深く拝聴できた。モノづくり先進県の愛知が国家戦略特区から外れたのは、危機感が薄いからだろうか。地方を再生するための戦略を持ち、国家の力をいかに引き出していくのかが重要ではないかと感じた。
 総務省の地域政策課長である猿渡知之氏からは、ICTを活用しての地域経済の活性化の話であった。今後、ICTをどう活用していくのかによって、自治体間の格差、地域経済の格差が生じてくるのだろうと思う。国の戦略に上手く乗って、地域の企業、事業と連携し、共同利用の方向性を持つことが必要ではないかと思うが、セキュリティの問題を念頭に入れながら、
慎重に進めていかなければならない。
 小林慶一郎氏の「アベノミクスと日本経済のこれから」は、国や地方の借金、消費税、財政再建という方程式の「解」を何に求めていくのかという、まさに近未来の危機の話であった。答は消費税の大幅アップであるが、現役世代か、将来世代か、誰が負担するのかという問題もある。政治の判断、決断であるが、国政の問題と逃げてはいけない。
 村上祐介氏の「教育委員会改革と首長・議会の役割」は、大津のいじめ事件をきっかけに、戦後の教育委員会体制のあり方そのものが問われており、今国会に上程されている地方教育行政法改正案の経緯、論点、課題が明らかにされたものであった。今後の地方議会において、論議しなければならない内容であった。
 今回の研修は、学者、現役官僚、現役の首長と多士済々の講師陣であり、内容も豊富で実践的であった。また、新藤総務大臣から「やる気のある自治体から提案をしてほしい」とのスピーチがあり、横並びの一律的補助支援から地域の実情に応じた交付金方式へと国の政策が大きく舵を切られたというスピーチを聞き、心強く感じた。ここで得たこと、気付いたことは
実践しなければ意味がない。岩倉市議会においても、議会改革特別委員会(全議員で構成)で、議会基本条例の具現化の討議を行い、毎年2回の議会報告会及び意見交換会を開催したり、開かれた議会として傍聴規則の規制を取り払ったりしているが、それらのことは制度上の改革であり、重要なことは議員個人の資質の向上、政策提案力の向上であると思う。その上で岩倉らしさを政策で打ち出していくことが重要であると思う。合議体の議会の一員としての議員の立場を再認識し、住民と向き合い、意見を交わし、課題解決に向け、行動していきたいと強く感じた研修であった。
以上

  

Posted by mc1397 at 21:46Comments(0)TrackBack(0)