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2014年04月26日

研修報告

地方議員セミナー報告書
 「子ども・子育て支援新制度と自治体行政」
平成26年4月26日
1日時  平成26年4月19日(土)10:30~17:30
2場所  TKP名古屋ビジネスセンター
3主催  保育研究所
4セミナーの内容
□講義1 「現行制度の概要、新制度導入までの経過と新制度の枠組み」
      講師 逆井 直紀 氏(保育研究所専務理事)
主な内容は次のとおり
Ⅰ現行制度の概要
 1保育施設の状況
 (1)保育施設の現勢
  1)保育所
①認可保育所 約2万3千か所 約230万人の子ども
・公立保育所・・・公設公営保育所、公設民営保育所
・私立保育所・・・社会福祉法人等(市町村からの委託で保育を行う)
②認可外保育施設 届出制 約7千7か所 約18万人の子ども
・まったく公費助成なしの施設・・・ベビーホテル等
・公費助成を受けている施設・・・東京都の認証保育所
・届け出対象外・・・事業所内保育施設 4千か所 6万人
2)幼稚園の状況 約1万3千か所 160万人
3)認定こども園 2006年創設 約1千か所
・幼稚園と保育所の機能を持つ
(2)保育所・幼稚園の動向
1)保育所の状況
・低年齢児保育の進展の一方、待機児童問題の深刻化
・人口減少地域での保育所の定員割れの進行と統廃合・認定こども園化
・公立保育所の廃止・民営化
・困難化する日常の保育・・・処遇問題、保育時間の長時間化、定員を超えた入所、保育士不足問題の深刻化など
2)幼稚園の状況
・施設数、園児数の減少・・・公立園の統廃合
・3歳児保育の進展・・・9割が私立園
・預かり保育の進展・・・私立園の9割で実施
2保育所制度の概要
(1)市町村の責任による保育の実施(児童福祉法第24条)
・保育所で「保育の実施」をする責任という原則
・市町村と私立認可保育所・・・市町村が行うべき保育の実施を、私立認可保育所に委託する関係。運営経費は市町村の
責任で支弁する。
(2)保育所を支える公費
・国庫交付金
・自治体の単独支弁措置・・・公立保育所の場合、全額市町村の一般財源から支出
3幼稚園制度の概要
(1)保護者と園との直接契約
(2)対象児童・・・3歳~就学前児童
(3)保育時間・・・1日の標準保育時間 4時間、年間39週
(4)財政・・・設置者負担主義(学校教育法第5条)
・公立幼稚園・・・市町村の一般財源、地方交付税による措置
・私立幼稚園・・・経常費助成制度(都道府県が実施)
4保育所・幼稚園制度の比較
(1)保育料
・保育所の保育料・・・市町村が決定、応能負担(所得に応じた保育料)
・幼稚園の保育料・・・私立は施設ごとに異なる設定、基本は一律
(2)入所の仕方
・保育所・・・市町村の行政処分(入所枠があれば選考不要)
・幼稚園・・・施設側の選考
(3)保育時間
・保育所・・・1日11時間、週6日、年間約300日
・幼稚園・・・1日4~6時間、週5~6日、年間約200日
(4)保育内容
・保育所・・・保育所保育指針
・幼稚園・・・幼稚園教育要領
*両者の保育に基本的な差はない。
5認定こども園
(1)幼保共用化の推進と一元化、一体化の提起
・2003年6月 閣議決定(就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の設置)
・2006年3月 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案を国会に提出、6月可決
10月1日施行
(2)認定こども園制度の概要
①次の機能を備えるものは、都道府県知事等から「認定こども園」として認定を受けることができる。
・教育及び保育を一体的に提供
・地域における子育て支援の実施
②4類型
・幼保連携型・・・共に認可
・幼稚園型・・・認可外保育所の併設
・保育所型・・・認可外幼稚園の併設
・地方裁量型
③認定こども園制度の問題点
・保育3元化
・条件改善の視点がない。
・認定の傾向・・・私立幼稚園の移行が顕著、都市部等で公立幼稚園の統廃合策
・保育上の困難・・・長時間児の保育
④低調な認定状況(平成25年4月1日現在)
・認定件数1099件・・・公立218件、私立881件
 類型別内訳・・・幼保連携型594件、幼稚園型317件、保育所型155件、地方裁量型33件
Ⅱ新制度導入までの経過
1厚労省の社会福祉基礎構造改革の枠内の改革
(1)自治体責任の福祉から市場原理に基づく福祉への転換・・・福祉の市場化・産業化
・2000年 介護保険法施行
・2006年 障害者自立支援法施行
(2)保育制度「改革」の再提起
・2009年 社会保障審議会少子化対策特別部会「第1次報告」
 新たな保育の仕組み
  ○介護保険、障害者自立支援制度をモデルに保育制度を転換
  ○消費増税による新たな財源の確保
2民主党政権によって、付加された幼保一体化
・幼保一体化提起・・・幼稚園団体の合意なき制度改革の破綻
・保育所のみ総合こども園への移行
3自公民3党合意による修正
・児童福祉法第24条1項の復活・・・保育所は市町村の責任
・総合こども園法の取り下げ、認定こども園法改正(総合こども園の代わり)
・幼稚園、保育所の移行を義務付けない。
・幼保連携型認定こども園は設置主体に規制(営利企業の参入不可)
Ⅲ新制度の枠組み
1新制度の大枠
(1)子ども・子育て支援関連3法成立(2012年8月)・・法律は制度の大枠を規定
 1)子ども・子育て支援法・・・手続きや財政
 2)改正認定こども園法
 3)児童福祉法含む関連法律の整備法
(2)新制度の施行スケジュール
 <国・内閣府>→認定・施設基準等を政省令で2014年3月までに示す予定
 <市町村> 各自治体にも地方版子ども・子育て会議を設置、市区町村事業計画策定、2014年秋までに必要事項を
条例化(~2014年9月)、2015年4月開始
(3)給付・事業の全体像
 1)子ども・子育て支援給付
  ①施設型給付・・・認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付(国1/2、都道府県1/4、市町村1/4の負担)
   *私立保育所については、現行どおり、市町村が保育所に委託費を支払い、利用者負担の徴収も市町村が行う。
  ②地域型保育給付・・・小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育(ベビーシッター)、事業所内保育(給付負担は①
と同じ)
   *新しく立ち上げ
  ③児童手当
 2)地域子ども・子育て支援事業・・・市町村事業計画
  ①利用者支援(新規)
  ②地域子育て支援拠点事業
  ③妊婦健診
  ④乳児家庭全戸訪問事業
  ⑤養育支援訪問事業、その他要支援児童、要保護児童等の支援に資する事業
  ⑥子育て短期支援事業
  ⑦ファミリー・サポート・センター事業
  ⑧一時預かり
  ⑨延長保育事業
  ⑩病児・病後児保育事業
  ⑪放課後児童クラブ事業
  ⑫実費徴収に係る補足給付を行う事業(新規)
  ⑬多様な主体が本制度に参入することを促進するための事業(新規)
2新制度の概要
(1)保育の多元化、保育所保育の相対化、並列化・・・利用者の選択
 1)施設型給付(私立は国1/2、都道府県・市町村1/4負担、公立は市町村が10/10負担)
  ①保育所・・・市町村の実施責任、児童福祉法第24条1項の適用
  ②認定こども園(幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型)
  ③幼稚園
 2)地域型保育給付(公私問わず、国1/2、都道府県・市町村1/4負担)
  ①家庭的保育・・・5人まで
  ②小規模保育・・・6~19人、A型・B型・C型
  ③事業所内保育
  ④居宅訪問型保育・・・ベビーシッター
(2)児童福祉法第24条1項の復活と24条2項の違い
 1)保育所については、保育の実施責任が残る・・・保育所は市町村が決定、利用者の権利性は強い。
 2)児童福祉法第24条2項(保育所以外は直接契約)・・・保育所以外(直接契約施設)は両者の合意による契約により
入所が決定、市町村は決定権がない。利用者の権利性が弱い。
  *ただし、当面は市町村がすべての申し込みを受け付けて利用調整を行うことになると思われる。
(3)認定制度の導入
  ・利用申し込みの前に、市町村から認定を受ける必要がある。
  ・認定・・・必要性、必要量(保育時間)
  *保育短時間、長時間(保育標準時間)の区分が問題となる。
(4)補助のあり方の変更
 1)施設補助から利用者補助(給付)へ
  ・市町村が責任を持つ保育・・・市町村から保育所に委託費として支弁、保育所の運営を保障する経費、使途規制
  ・直接契約・・・保護者が保育を買うための補助(給付)として支出、保育所の運営費を保障するための経費ではなくな
る。使途規制なし。
  *企業のための給付制度(利用者補助)・・・使途は自由、保育の充実のために公費が使われない。
(5)幼保一体化、幼保連携型認定こども園への移行促進
 1)幼保連携型認定こども園
  ・学校教育法に基づかず、教育基本法に基づく「学校」
  ・職員等の規定は、学校教育法の準用
  ・保育者は保育教諭という「職名」
2)子どもの差別になりかねない「教育」と「保育」の定義変更
  ①「教育」・・・子ども・子育て支援法第7条では「教育基本法第6条第1項に規定する法律に定める学校において行わ
れる教育」と定義している。幼稚園、幼稚園型認定こども園、幼保連携型認定こども園が適用される。
  ②児童福祉法第6条の3・・・「保育」は、「教育」を含まない。
3その他の課題
(1)保護者負担問題(保育料)
  ・「質改善」による負担増
  ・自治体の財政措置により、国基準の高額保育料を軽減してきたが、その存続は?
  ・上乗せ徴収、認定を超えた延長保育による割増負担
(2)市町村の判断で、子ども・子育て支援事業
  ・保育に関わる補助事業の再編
  ・学童保育の基準の条例化、事業目標の設定
(3)市町村に、実施主体にふさわしい体制の整備
  ・実態調査をベースにした事業計画の策定
  ・地域型保育の認可基準等の条例化等
  ・実務体制の確立
  ・単独財政措置の整理、拡充
*現時点で。政省令が示されていない。自治体で9~10月に条例化し、来年4月の開始に間に合わせることになるが、か
なりタイトなスケジュールとなるだろうとの見通しがあった。

□講義2 「子ども・子育て支援新制度の全体像」―概要と課題
     講師 村山 祐一(保育研究所所長・元帝京大学教授)
 主な内容は次のとおり(講義1と重複する部分は省略)
Ⅰ新制度の特徴と問題点
1子ども・子育て支援法の特徴
 ☆施設型給付・地域型保育給付(個人現金給付、実質的は施設が代理で受領する。法的には親への給付)制度の導入
と現行補助金制度の廃止。ただし児童福祉法第24条第1項の復活で、保育所は給付ではなく、委託費(負担金)とな
る。
 ☆OECD(経済協力開発機構)保育白書は「職員の現場研修の改善や給与の改善に貢献しない」「質の高い職員の雇用
や基盤整備ができなくなる」として個人現金給付の危険性を指摘している。
1)子ども・子育て支援給付について
 (1)「教育・保育給付」は施設型給付と地域型保育給付
  ・親への給付額(保育施設利用の親への補助金)と現行補助金制度の廃止
  ・親の給付を受ける権利と市町村の責任義務
  ・給付認定について-3つの認定区分と保育必要量の認定
   認定区分・・・第1号認定(教育標準時間認定・満3歳以上)
          第2号認定(保育の必要性の認定・満3歳以上)
           第3号認定(保育の必要性の認定・満3歳未満)
   月単位の保育必要量は2区分(保育標準時間と保育短時間)となると思われる。
  ・給付の公定価格(公的補償額+利用者負担額)
 ①基本的な考え方
  例1 個別費目の積み上げ方式(保育所運営費等)
  例2 包括的な報酬体系(介護保険制度等)
 ②公定価格のあり方 基本額(1人当たりの単価額)+各種加算額+各種補助金
2改正認定こども園法の特徴
 ①内閣府管轄に1本化→学校教育法とは別に認定こども園という学校を内閣府・文科省・厚労省(窓口は内閣府)として
制度化→学校教育の二元化
 ②新幼保連携認定こども園は内閣府の認可
 ③「保育所定員+幼稚園定員」は不要。幼稚園と保育所の認定こども園への移行は、幼稚園型認定こども園と保育所型
認定こども園となり別なタイプ。
 ④現行の保育概念と異質な考え。保育所保育は「設備及び運営に関する基準(最低基準)」第35条で「養護及び教育を
一体的に行うことを特性とする」と規定。新認定こども園の場合は、午前中は教育、午後は保育という考え。
 ⑤新幼保連携認定こども園の保育者の職名は「保育教諭」で、幼稚園教諭と保育士の両資格の併有者。両資格の併有
者は約75%。
3新制度の保育所・幼稚園の全体的システムの構造は一層複雑化
 ①保育所・幼稚園は三元化・・・学校の二元化+保育所
 ②幼稚園は4つのタイプ、保育所は3つのタイプに多様化
 ③地域型保育事業・・・小規模保育(6人から19人、3つのタイプ)、家庭的保育事業(5人以下)、事業内保育事業、居宅
訪問型保育事業(ベビーシッター)
4新制度と財政危機
1)新制度と財源問題
 ①関連3法案の子育て支援充実財源(0.7~1兆円)とは、量の拡充4千億円+質の拡充3千億円(職員配置基準の改善
等)であるが、不透明。
 ②新制度の財源は「国基準ベース」に基づくという意味だが、量の拡大で現状水準が守れるか。
 ③3歳以上児の保育料の無償化は7千900億円
2)自治体負担の現状
 ①自治体の保育所超過負担額は1兆3694億円(うち保育料軽減2067億円)
 ②子ども・子育て分野の単独事業負担額は1兆7200億円、その8割が市町村負担。国に財政負担の抜本的改善が必
要。
 ③政府は自治体負担の現状を調査し、実態を踏まえた改善課題を明確にすること。
3)待機児童対策の3つの障壁(ニーズ、施設整備費用、運営費)と財源課題
 ①児童福祉法第24条と待機児童の定義
 ②待機児童解消の中長期の緊急保育所整備計画の必要性
 ③国の運営費・保育料基準が実態に見合っていない問題、自治体は1.6~2倍支出
4)子ども・子育て事業計画の作成(ニーズ調査)と財源
 ①住民ニーズを的確に把握して、市町村から発信するボトムアップ計画
 ②市町村財源の実情を解明し、国の負担金の必要性を明確にすること。
Ⅱ児童福祉法第24条第1項を具体化させるための当面の緊急改善課題
1)入所・保育保障の市町村の保育実施責任
 ①市町村の保育実施責任を順守させる。
 ②市町村の「利用調整(親の希望する施設に入所できるようにすることが原則)」の法的意味は不透明。
 ③幼保連携型認定こども園への差別的・なし崩し的移行はあってはならない。
2)現行保育水準を確保するには、委託費及び補助金の法的規定を明確にさせること。
 ①委託費の基礎となる「公的価格」は「個別費目の積み上げ方式(保育所運営費等)」での対応が必要。
 ②委託費及び補助金の法的根拠を明確にすること。
3)委託費と公定価格(公的補償額+利用者負担額)のあり方
 ①「包括的な報酬体系(介護保険制度等)」ではなく、「個別費目の積み上げ方式(保育所運営費等)」で「国の算定基準」
を明確に。
 ・現行の保育水準確保には、公定価格に各種加算金と補助金の組み合わせが必要。
4)「保育必要量」は8時間保育をコアに
5)保育者の資格と処遇
 保育教諭も幼稚園・保育所の両資格併有の保育者も等しい処遇とする。
6)子ども発達保障は平等に
7)保育料の軽減ための施策
OECD調査では、親負担率は加盟先進国平均2割程度。日本の場合の親負担率は 幼稚園55%、保育所60%と最も
高い水準にある。現行の自治体の保育料軽減費用は2千億円。現状の保育料水準を国の責任で保証し、先進国の水準
に近づけること。

□講義3 「利用者サイドからみた新制度」
     講師 田村 和之(広島大学名誉教授)
主な内容は次のとおり(各講義と重複する部分は省略)
1新制度(子ども・子育て支援法)のあらまし
 ◎保育サービスの利用者(保護者)に金銭(施設型給付費、地域型保育給付費)を支給する仕組み
・これまでの保育サービス提供者
 ①保育所、②幼稚園、③認定こども園(保育所型、幼稚園型、地方裁量型(無認可保育施設型))
新たに追加された提供者
 ④幼保連携型認定こども園、地域型保育事業者(⑤小規模保育、⑥家庭的保育、⑦居宅訪問型保育、⑧事業内保育を
行う事業者)
・市町村は、保育サービスの利用者(保護者)に一定の金銭(施設型給付費、地域型給付費)を支給する。ただし、施設・
事業者による代理受領
・保育料は、施設経営者・事業者が決定・徴収する。
2「保育の利用」の手順-直接契約性
1)保護者が市町村に対して「保育の必要性」の認定を申請する。
 施設型給付費・地域型保育給付費を受給しようとするときは、あらかじめ「保育の必要性」の認定を受けなければならな
い。
2)市町村は、「保育の必要性」と「保育必要量」の認定を行う。「保育の必要性」とは、子どものための教育・保育給費を受ける資格を有すること。
*認定の区分
 1号・・・3歳以上・学校教育のみ(保育の必要性なし)、必要性なくても、認可幼稚園への給付のため、認定を受ける。
 2号・・・3歳以上・保育の必要性あり
 3号・・・3歳未満・保育の必要性あり
・「保育の必要性」・・・以下のいずれかの事由に該当すること
 ①就労、フルタイムのほか、パートタイム、夜間など基本的に就労に対応(居宅内の労働を含む)
 ②妊娠、出産
 ③保護者の疾病、障害
 ④同居又は長期入院等している親族の介護・看護
 ⑤災害復旧
 ⑥求職活動(起業準備を含む)
 ⑦就学(職業訓練校等の職業訓練を含む)
 ⑧虐待やDVのおそれがあること
 ⑨育児休業取得時に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること
 ⑩その他、上記に類する状態として市町村が認める場合
 *上記①~⑤、⑩は現行、⑥~⑨は追加
・「保育の必要量」とは
 ①「保育標準時間利用」・・・保育必要量は、現行制度の1日11時間までの利用に対応する。1か月当たり平均275時間
(最大292時間・最低212時間)とする。
 ②保育短時間利用・・・保育必要量は、原則的な保育時間である1日当たり8時間までの利用に対応するものとして、1
か月当たり平均200時間(最大212時間)とする。
・「支給認定証」が交付される。
・支給認定の有効期間・・・上限3年間(小学校就学前まで)
・市町村が利用の調整、あっせん・要請を行う。
3)保護者が保育施設・保育事業者に利用を申し込→契約成立→利用
4)利用定員・・・市町村の確認事項
5)市町村から保護者に施設型給付費・地域型保育給付費が支給される。施設・事業者が支給申請を「代行」することになる。
6)保育料の納入・・・保護者は、保育施設・保育事業者が設定した保育料を支払う。
3私立保育所の利用(子ども・子育て支援法附則6条の適用)
・私立保育所を利用した場合の子ども・子育て支援法における特例措置
・市町村は、施設型給付費相当額(保育費用)を「委託費」として支払う。市町村と私立保育所は保育の委託(契約)関係になる。
・保育料は、市町村が設定・徴収する。
4保育料(利用者負担)
・直接契約性のもとでの保育料のあり方・・・施設・事業者が設定し、徴収する。
・新制度における利用者負担は、法律上、世帯の所得の状況その他の事情を勘案して定めること。利用者負担の額は、
政令で定める額を限度として、市町村が定める額としている。

□講義4 「市町村・地方議会の課題」
     講師 杉山 隆一(佛教大学教授)
 主な内容は次のとおり(各講義での重複部分は省略)
1市町村(都道府県)のなすべき課題と私たちの視点
(1)基本的視点について
 ①保育条件を現行基準より引き下げないこと
 ②保育の平等性原理(保育を受ける権利)を踏まえた基準の設定
 ③一人ひとりの子どもにとって最適な保育を保障できる条件の確保
 ④保育の量とともに質の確保を重視する視点
 ⑤児童福祉法1、2条及び24条と子どもの権利条約からの視点
(2)市町村が取り組む事項と課題
 ①基本的事項
 ・保育の必要性に関する事項・・・条例等
 ・特定教育・保育施設に関する「運営の基準」の条例
 ・地域型保育事業者の認可の基準に関する条例
 ・保育料徴収基準の条例
 ・幼保連携型認定こども園の認可の条例
 ・放課後児童クラブの「設備と運営の基準」に関する条例
 ②保育の必要性の認定について
 ・保育の必要性の要件の内容について
 ・国の定める要件は就労を中心としながらも保護者の病気、家族の介護、求職中、大学生など就学中も含めるという現
行の「保育に欠ける要件」を基本とする。
 ・市町村の判断により保育を必要と認めた者
 ・「障害」を要件に入れるかは不明
 ・求職中の期限を90日(保育を受けることができる日)
 ・育児休業中の子どもの保育を保障できること
 ・就労時間を48時間か64時間で、市町村が決める。
 ③特定教育・保育施設に関する「運営の基準」
 ・保育所や認定こども園の認可基準を踏まえて、特定教育・保育施設の運営の基準を定める。国の運営基準を踏まえて
市町村が条例で定める。
 ・国の定める基準・・・利用定員、適切な処遇の確保、秘密保持、健全な発達に関する基準
 ・現在の運営状態を低下させない、少しでも向上する視点で条例案を検討すること
 ・利用定員の基準をどう考えるか
 ・小規模保育事業との関連・・・連携施設としての利用定員の確保、保育支援
 ・保育支援の担当者の配置と助成・・・事故対応、職員配置の改善、緊急時対応
 ・運営基準における主たる論点
   ・契約書の交付と契約内容
   ・応諾義務における「正当な理由」の取り扱い・・・施設・事業の受け入れ能力・協力体制の関係、利用者負担の滞
納との関係、保護者とのトラブル
 ④地域型保育事業者の認可条例
 ・地域型保育・・・家庭的保育、小規保育、居宅訪問型、事業所内
 ・類型に応じた認可基準の制定
 ・国の認可基準・・・職員と員数は「従うべき基準」、他は「参酌基準」
 ⑤放課後児童クラブの「設備と運営の基準」に関する条例
 ・国の基準・・・職員と員数は「従うべき基準」、その他は「参酌基準」
 ・条例に盛り込む項目・・・職員の資格、員数、施設(面積・設備等)、開所日数、開所時間、利用手続き、学童保育指
針、保育料など
 ・規模と職員配置・・・一単位40人以下、資格者1名、補助者1名
(3)幼保連携型認定こども園の設備と運営の基準
 ①国が示す「従うべき基準」
  ・学級編成並びに園長、保育教諭及びその員数・・・3歳以上、35人以下の学級、保育教諭(1名)、標準時間4時間な

  ・保育室の床面積、設備に関する事項
 ②確保すべき基準
  ・3歳以上の午後もクラス編成を維持する体制
  ・子どもにとって最適な施設面積や設備
  ・屋外遊技場、屋内遊戯室、食と住の分離などをどう考えるか。
(4)事業計画
 ①事業計画の基本的考え方と役割
  ・教育・保育提供体制の確保
  ・利用状況+利用希望の把握(事業量の見込み)・・・具体的な数値を設定
  ・多様な事業主体による提供体制の確保
 ②子ども・子育て支援事業の実施計画
  ・子ども・子育て支援法に基づく法定13項目に関する利用意向の把握(見込み量)
  ・利用意向に沿った着実な実施体制の確保
(5)事業計画の主な内容
 ①基本指針による記載事項
  ・必須事項・・・区域の設定、見込み量(必要利用定員と需要)、設定区分による見込み量の設定(数値目標)など
  ・提供体制の内容・・・柔軟な体制の確保、多様な事業者の参入の促進、障害児等特別な支援が必要な子どもの円滑
な受け入れなど
 ②実施方法と時期
  ・市町村は「教育・保育提供区域」ごとに「見込み量」に対応する提供体制を確保
       ↓
  「教育・保育施設」「地域型保育事業」に区分して数値を掲載
  ・5年を一期とするが、一年間単位に見直しも可
  ・子ども・子育て支援事業は法定13事業項目ごとに見込み量と提供内容を記述
(6)事業計画策定で留意する点
 ①事業計画の目的と課題
  ・事業計画は子ども・子育て支援新制度の実施を目的とする。
  ・ニーズ調査により実体的計画的に保育、子育てニーズの充足を目指す。
  ・多様な事業主体の参入促進と地域型保育事業による3歳未満の保育対策
 ②児童福祉法24条1項と事業計画
  ・保育を必要とする子どもは児童福祉法24条1項により市町村が保育所に入所させ保育する義務を書き込むこと
 ③事業計画で留意すべき点
  ・現行の水準を後退させず、水準の向上を目指す。
  ・どのような基準で教育・保育提供区域を設定すべきか。
  ・一時預かりと幼稚園の預かり保育を区別するべきでないか。
  ・障害児の保育所入所が保障できるよう盛り込む。
・学童保育は、全児童対策と区別して計画に盛り込む。
・3歳未満の保育を必要とする子どもの保育保障は認可保育所を基本とするように計画に盛り込む。
・認定こども園への移行を重視した計画にならないようにすること
・事業計画を企業参入の誘致計画とさせない歯止めを
④都道府県事業計画で留意すべき点
・認定こども園(幼保連携型認定こども園)の目標値が過大に設定されないようにする。
・保育士の人材確保対策に対して実効性のある計画を策定させ実施させること
・児童虐待など社会的養護の分野では市町村との緊密な連携体制を確立すること
・広域行政を担う義務から、保育水準の格差の解消のための施策を盛り込むこと
・都道府県の独自基準、補助の水準を後退させないこと
(7)保育料・施設整備助成と検討の視点
 ①応能負担による徴収
 ②実費徴収、上乗せ徴収の容認
 ③国基準を適用せず、住民の生活実態をよく勘案して保育料水準を定める。国との差額は市町村負担とする。減免措置
は継続すること。
 ④徴収権限
 ・保育所は市町村が徴収
 ・保育所以外は施設が徴収
 ・未徴収の問題をどう考えるか。

<質疑>
問 公定価格の考え方は。
答 公定価格に親の負担も含まれる。職員の処遇を公定価格に入れれば親の負担となる。公定価格の額は決まっていない。介護のようになると包括方式となる。積み上げ方式、包括方式、折衷案と3パターンあるが、今回は積み上げ方式の方向である。
問 公立保育所から認定こども園への移行はどうなるのか。
答 公立保育所は廃止、認定こども園の設立となる。
問 公立保育所に希望する人が希望どおりにならなかった場合の扱いは
答 利用申込を市町村に提出、市町村が調整し振り分ける。調整は行政指導(受ける側は任意の協力)、希望に反すれば不利益処分となり、行政不服訴訟は可能で取り消しの対象となる。
問 3歳未満児の待機解消となるのか。
答 小規模保育の認可基準による。枠拡大(認可保育所)が望ましい。
問 企業内保育所とは
答 企業内の保育所は市町村の委託となる。公開させることが必要となる。
問 認可外保育所はどうするのか。
答 認定こども園への移行は可能。移行しなくても残ることはできるが、給付はなしで親負担が増加する。19人以下は小規模保育所、それ以上は認定こども園への移行となる。

□所感
 子どもをめぐる環境は、少子化、待機児など厳しい状況にある。これまで保育所は厚労省、幼稚園は文科省で、それぞれは目的と役割、機能を異なるものとして住み分けてきたが、子ども・子育て支援法の成立を受けて、保育・教育の一元化、一体化が進められている。高齢者対策としての介護保険のように、社会福祉制度改革の「子ども版」として新制度が機能しようとしている。
 子ども・子育て支援新制度は大変難解で分かりづらいものである。今回、保育の専門家集団から集中的に講義を受けたが、一日の研修では消化しきれないほどの内容であった上に、研修時点では、詳細を示すべき政省令が示されておらず、不透明な部分が多々あった。
岩倉市では児童家庭課が子ども・子育て支援法を受けての制度設計、条例化等の実務作業を進めている。平成25年度に続き、26年度も私立幼稚園側の認定こども園への移行が進められている。おそらく本年中に子ども・子育て支援法に基づく条例が提案されるものと思われるので、議員としてそれに向けての政策勉強を継続し、子どもにとってよりよい制度となるよう努めていきたいと感じたセミナーであった。

  

Posted by mc1397 at 22:32Comments(0)TrackBack(0)