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mc1397

2014年01月29日

研修報告

平成25年度犬山市議会議員研修会に参加して
平成26年1月28日
 平成26年1月28日(火)午後1時30分から犬山市役所5階第1・2委員会室において、犬山市議会の議員研修会が開催され、出席したのでその内容を次のとおり報告する。
□講演テーマ:「全国に広がる地方議会改革」-住民・行政・議会、三者の関係から見えてくるもの-
□講師:中尾 修 氏(北海道栗山町元議会事務局長、東京財団研究員、早稲田大学マニフェスト研究所客員研究員、第30次地方制度調査会委員)
□講演内容 主な内容は次のとおり

1二元代表制という仕組み(地方議会と首長)
・犬山市教育委員会で採用されている「新しい公民」(中学校社会科用教科書)では、住民自治とは「住民自身が、自分たちの住んでいる地域の課題を考え、議論して、よりよい地域づくりのために、努力することが必要です。このように、住民の意思にもとづいて、それぞれの地方の運営を行うこと」そして、地方自治とは「それぞれの地域はまず住民自身によって運営されるべきもので、そのために国から独立した地方公共団体をつくるという原則があり、このことは憲法で保障されています。」と記述している。
・地方自治の制度では、「首長と地方議員という、2種類の代表を住民が選ぶこと(二元代表制)が、地方自治制度の特徴です。」と説明している。この二元代表制は世界的には珍しいケースで、戦後、権力を集中させないための制度であるが、議会らしい行動をとっていないのが現状である。
・「新しい公民」では、北海道の栗山町の議会改革を「2006年に議会基本条例を全国ではじめて制定するなど、町議会を住民にとっていっそう身近な存在にするために、さまざまな取り組みが進められている」と紹介している。
・直接請求権、住民投票など住民参加の拡大が首長や地方議会を動かす機会である。

2住民との直接対話「議会報告会」の意義
・議会は住民に向き合いその対話を通して、地域の課題解決を図ることが求められている。栗山町議会は住民の厳しい声に対し、議会基本条例を制定し、住民に直接説明する場として「議会報告会」を開催している。
・議会報告会は自治会や町内と協働して開催し、退屈にならないよう「車座方式」で運営するとよい。

3議会基本条例
・500を超える自治体議会で「議会基本条例」が制定されている。地方議会の最高規範として位置づけられる。
・議会基本条例では「議決責任」と「説明責任」を明確にし、「議会の監視機能」と執行部と競えるだけの「政策立案能力の充実」が重要である。
・議会の在りようは、スポーツに例えると、かつてはゴルフと同じで個人技の集団であったが、サッカーのようにパスをつないでゴールするという合議体が求められる姿である。首長は全体の代表であるが、議員は部分の代表であり、首長に対しては「議会の塊」で対抗することとなる。
・議会は「討論の広場」なので議論し合意形成で結論を出す機関である。
・議会基本条例は、住民参加、情報公開、行政評価など市民と議会は同等であり、市民にとって使い勝手がいいのかどうかがポイントである。

4超高齢化社会の問題は特別会計に表れている
・予算審議は一般会計予算に時間が割かれ、特別会計は十分に審議されていないのが現状である。国民健康保険や介護保険などに超高齢社会の問題が表れているので、その審議に軸足を置いてはどうか。

□質疑
問 議員が責任を果たせば、議会基本条例は不要であるが、政策提案が弱いという現状である。報告会を採決前に開催し、市民の意見をまとめて採決するという考え方についてどう考えるか。
答 議会基本条例が無くても議員活動はできるが、条例という命令があって行動できる部分もある。栗山町議会では「討議を中心に運営する」ことになっており、議員間討議が根幹である。
問 通年制議会の考え方は。
答 通年制議会と通年議会は異なる。通年議会は会議規則の運用で可能であり、1回招集し通年を開会するもので、通年制議会は特定の曜日に開会するものであるが、使いづらいのではないか。日曜日や祝日に開催し、市民の関心を高めることはできると思う。
問 議会基本条例で議会は変わるのか。
答 市民から見て、信頼ある機関に変化しているのか、基本路線の変化は当然である。現状は、「討論の広場」という形になっておらず、議論がされていない。日本文化の中で根付くかどうかが問われている。
問 首長の反問権についての考えは。
答 一般質問で首長から反問されるのは当然である。反問をどうするのかは議会で論議することではないか。
問 全員協議会の位置付けをどう考えるのか。
答 全員協議会は残してもいいのではないか。止めるのなら、議事録を残す代わりのものを設置してはどうか。マスタープランなどの計画への議会の対応は市民公募された段階で議会も一緒に行うなど柔軟に応じてはどうか。
問 議長マニフェストや定数、報酬の扱いは。
答 議会基本条例に議長選挙の際のマニフェストを入れてはどうか。定数は削減しない方がよい。今の定数を維持する努力が必要。
問 議員の日頃の業務が評価されていないが。
答 議員の活動は公務、準公務(研修など)、プライベートとなるが、市民に理解が得られてないのが現状である。市民に示すことではないか。

□所感
  議会改革に熱心の取り組んでいる犬山市議会の議員研修に相互交流として出席した。講師の出身母体である栗山町議会は、議員に就任した23年度に総務・産業建設常任員会の行政視察で訪れたところであるが、残念なことに講師が退職された後だったので、全国初めての議会基本条例制定の裏方から話を聞くことができなかった。今回、機会を得て、聴講することができた。講師がしきりに強調されていたことは「議員間討議」である。議会は「討議の広場」で、議論し合意を形成することが議会という合議体の根幹であるが、残念ながら、現状は本会議でも委員会でも、当局に質問はしても、議員間で討議することは無く、賛成・反対の討論で済ませている状況である。岩倉市議会は平成23年5月1日から議会基本条例を施行し、以後議会改革特別員会(議員全員)を設置し取り組みを進めている。「議員間討議」については意識的に取り組んでいきたいと思う。そのためには「政策立案能力の充実」が重要であり、議会改革特別委員会の下に設置している「まちづくり政策部会」で議論を重ねていきたい。また、「議会報告会」についても、平成23年度から年2回程度開催しているが、市民の出席者数が低調なので、工夫が求められている。議会報告会とは別に団体などを対象とした「意見交換会」を25年度から開催し、商工会やPTAの意見交換を行ってきたが、今後、さらに充実させていきたいと考えている。議会改革に終わりはなく、議会の立脚点は市民のためにあることを改めて認識した研修会であった。
以上
  

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2014年01月22日

行政視察報告

岩倉市議会 議会改革特別委員会 行政視察報告書
平成26年1月22日
 議会改革の先進事例を学ぶ目的で、滋賀県大津市議会の行政視察を行いました。大津市議会は全会派で構成する「政策検討会議」を中心に政策条例や政策提案を活発に展開しており、平成25年2月には「子どものいじめの防止に関する条例」を「政策検討会議」を踏まえて上程し可決するなど全国の自治体議会のトップ集団に位置し、注目を浴びている議会である。視察内容は次のとおり。

1視察日時 平成26年1月20日(月)午後1時~午後3時
2視察先  滋賀県大津市議会
3視察者  岩倉市議会議員全員(14人)、同事務局員
4調査項目 政策検討会議及び議会改革の取り組みについて
 主な内容は次のとおり。
(1)大津市議会政策検討会議について
・大津市議会(以下「議会」)は平成9年以降、議会活性化検討委員会で議会改革の取り組みを進め、平成23年1月に政策条例などを協議する場として「政策検討会議」が設置された。大津市では平成23年10月、いじめを受けた中学生が自殺する事件が発生し、議会では、いじめ根絶に向けた取り組みを社会全体で進める必要があるとの観点から、平成24年7月から議会の各会派で構成する「政策検討会議」を中心に条例内容を検討し、平成25年2月に本会議で上程され、賛成多数で可決された。
①政策検討会議とは
・交渉会派(3人以上の議員の所属)から提案があったもののうち、議会運営委員会で賛同が得られた場合に設置される。各会派代表9人と正副議長で構成。
・政策検討会議で市民、参考人、公聴会等で意見を聴取するとともに、政策検討会議アドバイザー制度による専門的知見を活用して調査研究、条例案の作成を行い、政策検討会議全体会(全議員で構成)に報告し、議会運営委員会の承認を受けた後、本会議に上程される。
②政策検討会議アドバイザー制度とは
・政策検討会議の議論に資するため、専門的知見を活用することを目的に創設され、龍谷大学と議会との地域連携協定が平成23年11月28日に締結された。大学を選定した理由としては、検討課題にマッチした専門家集団であること、民間のシンクタンクより費用が安く効果が高いことである。
・連携内容は、大学教員による専門的意見の陳述、研修講演による調査研究支援、大学院NPO地方行政コースへの議員の推薦入学(現在、議員1人が在籍)などである。
・龍谷大学との連携実績・・・セミナー開催、質問力研修、「いじめを考える」講義など

(2)大津市子どものいじめの防止に関する条例について
・いじめによる中学生の自殺事件は平成23年10月に発生。翌年7月、全国的に報道され、苦情や意見が行政や議会に殺到した。いじめ根絶に向けた取り組みを社会全体で進める必要があることから、政策検討会議で条例内容を検討し、平成25年2月議会において議員提案で上程され、賛成多数(ある政党が賛同できない部分があると反対した。)で可決された。延べ17回の会合、パブリックコメント、行政との調整等を踏まえての条例制定であった。
 ・条例の内容は、前文と21条で構成され、市の責務、市立学校の責務、保護者の責務、子どもの役割、市民及び事業者等の役割、行動計画の策定、相談体制の整備、財政的措置、第三者委員会の設置など実効性を高める規定が盛り込まれている。

(3)その他の議会改革について
①会議規則の条例化
・市民の権利である請願の事項が、直接請求できる条例ではなく、規則に規定されており、望ましい姿ではないこと、外形的には「規則」が「条例」の上に位置づけられており、一般的な法体系(法-条例-規則)と矛盾が生じること、会議規則は「規則」でありながら、議決要件のため運用面での機動性に欠けることなどの不都合が生じているので、本年2月の議会において、「会議条例」と「会議規程」に整理する予定である。
・議会基本条例は未策定であるが、まずは「会議条例」や「委員会条例」で分かりやすくし、次のステップで議会基本条例を定める考えである。
②行政評価
・議会としては実施していないが、行政側が事業仕分けや市民公募による行政評価を実施している。
③通年議会の導入
・平成25年6月から導入。背景は、いじめ事件や豪雨災害に対して、速やかに対応するためには、現行制度では議案が上程されないと開会できない面があること、行政側も契約案件や損害賠償など速やかに議決を求める事案があることから、議会の通年化を導入した。毎月、本会議を開催している。昨年9月の台風18号の災害に対し、速やかに補正予算を議決するなど機動的に議会が機能している。25年度は補正予算を11号計上した。
④2013第8回マニフェスト大賞受賞
・大学との連携による議会からの政策提案や政策検討会議で「いじめ防止条例」を制定したことなど議会改革の取り組みが高く評価された。

□質疑
問 子どもいじめ防止条例の第9条に行動計画の策定があるが、議会はどのように関わりを持っているのか。
答 条例案検討段階で、行政側と調整している。条例制定後、市長部局にいじめ防止の専門部署(いじめ対策推進室)を設置し、行動計画の具体化を進めている。各学校、教委と連携し、情報の一元化を進め、議会委員会に報告している。
問 いじめ防止条例は全会一致でなかったとのことだが、その経過は。
答 議会運営委員会で提案され、政策検討会議を設置したが、反対の会派はなかった。子どもの役割、市民の責務の条文で一致できず、一部会派が採決で反対した。
問 一人会派でも政策検討会議に参加するのか。
答 会派の人数にこだわらず委員となる。検討会議では全会一致を求めない。
問 通年議会となると、一事不再理の原則はどうするのか。
答 一事不再理の原則によると、次の通年議会まで待つことになるが、会議規則を「・・・再びできない。ただし、事情の変更があればこの限りでない」と変更している。
問 議会だよりの編集方針は。
答 年5回発行している。現在は10ページだが、26年度は14ページを考えている。編集委員会で方針を立てるが、事務局員が編集に協力したため、グランプリ受賞を逃した。質疑と一般質問は分ける理由がないので同時に行い、1人60分の持ち時間である。
問 一般質問は通告制か。
答 第1週の月曜日が開会初日で、その1週間前に議案の事前説明(各派勉強会)、2日正午までに一般質問を通告、第2週の月曜日から一般質問となる。一般質問の方法は総括方式、分割方式、一問一答方式で選択であるが、8割ほどが分割方式を選択している。
問 防災推進条例が制定されているが、ポイントは。
答 阪神淡路大震災では公助で対応ができなかった。平成20年の市民意識調査でも6割の人が市でやってもらえると回答している。自助、共助を育成し高める理念条例とした。議会の役割が抜けているので、現在、議会の業務継続計画(BCP)を策定中。発災時の議員の行動計画(1日目は地元対応、2日目は全員が集合し情報提供など)を防災基本条例(26年度に予定)に取り込む。
問 全員協議会や委員会協議会の扱いは。
答 会議条例の中で廃止する予定。
問 議場での大型モニターやタブレットの活用は。
答 大型モニターは現在、進めている。タブレットは議員に貸与する。これでいつ、何時でも情報を提供できる。議会資料(紙ベース)を減らすことができる。予算は、大型モニターが5年リースで800万円、タブレット(議員38人と事務局員)はソフト付きで500万円弱である。
問 大学とのパートナーシップの予算は。
答 シンクタンク(年額400万円)より安い。毎月の費用は発生しない。検討会での謝礼(1回3万円と交通費)程度の費用である。
問 いじめ防止条例のパブリックコメントでは124人から意見があったが。
答 特定の団体の意見が集中した。実際は20件位であった。
問 予算・決算常任委員会に下に分科会があるが、役割は。
答 従来は4つの常任委員会に分割付託していたが、一般会計の分割付託は違法であることから、議員全員で予算・決算特別常任委員会を設置し、分科会は分割して審査のみを行い、討論・採決は委員会で行う。
問 防災基本条例を制定予定だが、その位置付けは。
答 地域防災計画は行動計画であり、防災基本条例はその理念となる条例である。
問 議員力アップに力を入れているようだが。
答 3つの力(議会力、議員力、事務局力)の向上を目指す。政策検討会議は事務局が進めるより議員力が高まる。団体自治意識を高め、市長に対抗する問題意識を持つ。

□所感
 大津市議会の議会改革は進化していることを実感した。議会は住民の身近な問題に耳を傾け、喫緊の課題に対しても対応を行うものの、政策的な取り組みが行えないならば、それは絵に描いた餅にすぎず、何もしないと同じことである。中学生のいじめによる自殺事件で全国的に注目を浴びた大津市であるが、議会改革は以前から取り組まれており、その一定の成果として、いじめ防止条例が議会自らの提案で制定された。その背景は何だろうか?が私にとって今回の行政視察のもっとも知りたかったことである。
 大津市議会は、二元代表制の一翼を担い、団体自治を高めていく過程で、委員会や会派間の議論に限界を感じ、議会全体で政策検討を行う体制(政策検討会議)を構築したと思う。このことは重要なことである。議会の置かれている現状は、与党とか野党とか、会派とか、市民とは関係のないところで政治力学が働き、ともすれば力関係で決着を図ろうとする局面がある。地方の政治においても政党政治の局面がある限り、現段階ではやむを得ない部分ではあるが、それに甘んじていてはやがて市民からノーを突きつけられるだろう。推測するに、大津市議会は、開かれた議会、信頼される議会を旗印に自らが政策形成能力を向上させることがその道筋であるとの意識が全議員に共有化されているのではなかろうか。
 岩倉市議会では、議会改革特別委員会の中に「まちづくり政策部会」を昨秋、設置したところである。今後、大津市議会のような進化を遂げるのかどうかは、まさに議員とその集合体としての議会の資質が問われるところである。岩倉市議会、ここにあり!と声高に胸を張って叫べるよう政策形成力の向上に努めたい。
 以上
  

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2014年01月18日

研修報告

岩倉市議会 議会改革特別委員会講演会報告書
平成26年1月18日
1日時:平成26年1月17日(金)午後2時~午後4時
2場所:岩倉市役所 7階 大会議室
3講演テーマ:地域公共交通におけるデマンド交通の役割
4講師:公益財団法人 豊田都市交通研究所主任研究員 福本 雅之 氏
5講演内容 主な内容は次のとおり

(1)地域公共交通を取り巻く状況
 ①地域公共交通とは何か?
 ・公共交通=料金を払えば、誰でも利用できる交通機関
 ・地域公共交通=公衆の用に供する交通手段で、公的な介入が許される交通機関
 ・実は公共交通ではない日本の公共交通
日本の公共交通機関:多くが民間企業の独立採算運営で、政策的意図よりも、需要を捌くという観点で整備され、公共交通というより大量輸送である。
 ②民間大量輸送の限界:民間の独立採算では成り立たなくなりつつある。
  平成21年度のバス事業者の収支状況は、民間事業者では69%が赤字、公営事業者では92%が赤字である。また、自家用乗用車の増加につれて、乗合バスの輸送人員は減少している。

(2)市町村による公共交通確保の取組
 ①生活における移動の重要性:さまざまな活動に移動が伴わざるを得ない。
 ・多くの人は自動車で〃自給自足〃しかし、自動車を使えなければ生活に制約がある。
 ・多くの地域で「移動手段の確保」が実施→民間鉄道やバスに加え、市町村によるコミュニティバスやデマンド交通の運行
 ・市民生活を支えるために公共交通は必要不可欠
 ②公共交通運営の移り変わり
 ・第1世代(~1970年代)交通事業者の採算(商売)として公共交通供給
    ↓モータリゼーション
 ・第2世代(~2000年代)不採算路線の増加、国や自治体による補助金で不採算路線の維持
    ↓地方分権
 ・第3世代(1990年代後半~)市町村による「コミュニティバス」の運行、公共交通政策を立案する市町村の登場
    ↓財政状況の悪化
 ・第3.5世代(現在)デマンド運行など運行効率化の試み、住民協働による運営方式の工夫
 ③コミュニティバス(1990年代後半~):新しいサービス(100円運賃、小回り循環、200m間隔のバス停、小型バスなど)で、全国に取り組みが広がる。
 ④デマンド交通(2000年代後半~)新しいサービス(タクシー車両の活用、路線やダイヤを決めない、予約がないと運行しない、ドアトゥドアに近い運行)で、ポストコミバスとして全国的に拡大中(2011年9月現在、中部管内33都市185ルートで運行)
 ⑤市町村による公共交通の立脚点
 ・代替えバス:事業者路線廃止後の代替交通手段
    ↓受け身から主体的関与へ
 ・コミバス:外出支援、交通空白解消などの政策的移動手段提供
    ↓財政負担軽減
 ・デマンド:外出支援、交通空白解消など政策的移動手段提供、移動制約者に絞り込み
  車を使えない人の移動手段を提供するという考え方

(3)市町村による公共交通施策のあるべき姿
 ①市町村の取り組みにありがちな問題
 ・コミバス、鉄道や既存路線バスの案内やダイヤがバラバラでネットワーク性が発揮できていない。
 ・市町村境にしばられがちで、近隣の公共施設や商業施設へ行きたいというニーズに応えられていない。
 ・広域幹線(国県補助路線)がアンタッチャブル路線となっており、市町村は触れない方が楽の姿勢
 ②乗合バスの輸送人員の推移
 ・路線バスの輸送人員が10年間で9千万人減った。
 ・コミュニティバスの輸送人員が10年間で9倍増えた。
 ・路線バスの輸送人員が10年間で3/4も減った。
 ・コミュニティバスの輸送人員は路線バスの7%しかない。
 ③コミバス偏重でいいのか?
 ・多くの市町村(中部管内の約92%)でコミュニティバスを運行しているが、輸送人員は路線バスに比べれば圧倒的に少ない。
 ・コミバスか路線バスかは利用者にとっては関係ない。「行きたいところ」に「行きたいとき」に「行けるかどうか」が重要
 ・個別に考えることはナンセンス、地域の公共交通全体を考える必要がある。鉄道、路線バス、コミバス、デマンド交通、タクシーが地域の交通体系の中で果たしている役割とは?を考え、それぞれの特性を生かし、ネットワークとすることが肝要
 ④地域公共交通ネットワークの構成
 ・幹線的サービス:地域のネットワークの中心、域内の主要拠点・施設間、域外との間で運行、需要・輸送量とも多く、高頻度サービスが望まれる。利便性の高い移動環境の提供、速達性・効率性重視
 ・支線的サービス:各集落と主要拠点を結び、幹線サービスに接続する。
 ・福祉的サービス:サービスレベルは最低限だが、各集落をきめ細かくカバーできる。最低限の移動保障、公平性を重視、行政の役割

(4)デマンド交通の特性
 ①デマンド交通とは?
 ・日本では、予約に応じて運行するデマンド型乗合タクシーを指すことが多いが、「利用者の要求に反応する輸送機関」(Demand Responsive Transport=DRT)である。
 ②デマンド交通の2つの性格
 ・デマンド交通は、タクシーと路線バスの中間的なもので、路線バスのバス停よりきめ細かく設定できるが、輸送量が下がる。また、福祉輸送に対処できるタクシーのように介護的サービスではない。コスト的にも中間に位置するものである。
 ・日本におけるデマンド交通は、人口密度地区における路線バスの代替と位置づけられる(日本型アプローチ)。
 ・ヨーロッパ型アプローチは、福祉輸送の相乗りでスタートしたが、普通の人が相乗りするために供給量が拡大し効率化の問題がある。
 ③運行の仕方はいろいろある
 ・路線バスは路線定期運行で、経路も時刻も固定されている。
 ・デマンド交通に位置づけられるものは、路線不定期運行と区域運行で、路線不定期運行では経路は固定だが、時刻は自由であり、区域運行では経路も時刻も自由設定となる。
 ④デマンド交通の導入適性
 ・デマンド交通は、路線バスやコミュニティバスに比べ、需要は少ないが、広い地域に少ない利用者を対象に面的に運行しなければならない場合に適するが、非効率にならざるを得ない供給をなるべく効率的に運行されることが求められる。

(5)デマンド交通検討のプロセス
 ①デマンド交通の検討の順序
 ・様々な運行形態のデマンド交通があるので、「どんなニーズなのか、何を満たそうとしているのか」
     ↓
  それを実現するサービスを考える。
     ↓
  実行できる方法(法規制など)を考える。
     ↓
  結果として、適性にあった運行形態が選択されるが、配車システムや補助金制度を前提として検討すると長続きしない。
 ②デマンド交通以外の選択肢
 ・バスの代替→バスの見直しは?
 ・福祉目的→福祉輸送は?
 ・利用が僅少→タクシーチケットの方が安いのでは?
 ③落とし穴
 ・利用者側から・・・予約の手間、電話することの抵抗感、自分のために呼ぶという贅沢品という感覚、周りの目など
 ・事業者側から・・・タクシーの乗客が食われないか、デマンドとタクシーのドライバーの給与が異なることからドライバーのやる気は出るのかなど
 ・行政側から・・・意外と必要となる経費、デマンドは利用者が増えるとコストがかかること、使われないと政策面での評価に響くこと、市民から「空バス」への不満など
 ④交通ネットワークの中のデマンド交通
 ・現在の交通ネットワークにおけるそれぞれの役割
  鉄道、路線バス・・・基幹公共交通
  路線バス、コミュニティバス・・・支線公共交通
  タクシー・・・個別輸送(一般)
  福祉輸送サービス・・・個別輸送(福祉)
  デマンド交通・・・支線公共交通、個別輸送が適用範囲、役割分担をしないと意味がなくなる。特化すること
 ⑤デマンド交通の得意分野
 ・タクシーでは小さい、バスでは大きい・・・乗合での利用となるが、バスは非効率
 ・公共交通では荒すぎる、福祉交通では細かすぎる・・・なるべく玄関先に近いところで乗降可能
 ・集落内より遠く、地域内の収まる・・・日常の用足しに使う。

(6)おわりに
 ①社会・人の行動の変化
 ・ますます進む自動車社会・・・高齢者の運転免許保有率の増加、運転支援・自動運転技術の登場
 ・人が外出しなくなりつつある・・・高齢者は外出支援で外出できても、若年層はICTの発達でスマホやネットで仕事や用を足すことができ、外出をしなくなる。
 ②考え方の転換を・・・近い将来は
 ・自動車は運転するものではなくなる。
 ・自動運転で交通渋滞はなくなる。
 ・燃料電池で環境問題は解決
 ・買い物はスマホ、仕事はネットで済ませて外出しない時代が来る。
 ③どう変えるか?
 ・自動車のような個別輸送はさらに便利になる。
 ・移動自体に価値が見いだされなくなる。
    ↓
  「おでかけ」したくなる魅力的な街と、それを実現する公共交通
 ④「おでかけ」したくなるとはどういうことか
 ・わざわざ足を運んでみたい、そこへ行かないと手に入らないと思わせる魅力的な地域
 ・リアルの交流には公共交通が不可欠・・・コミュニケーションや付加価値をあたえるものはヒト、ヒトとふれあう機会、歩いて街を楽しむための支援措置(喫茶店、公園など)と支える公共交通が必要である。

□質疑
問 岩倉に求めるべきデマンド交通のシステムは。
答 車を使いたくても使えない人がデマンド交通を利用する。デマンドで利用する人がタクシーチケットより大きく、かつバスより小さい範囲がデマンド交通の領域である。誰が不便かを考えること。
問 市外の病院へはいけない。市境のバス停で乗換となる。タクシーで行く人がいるが、住み分けをどう考えるのか。
答 必要なニーズはどこにあるのか、グループインタビューで聞いてはどうか。路線バスとデマンド交通は役割が異なるので、利用者に説明すること。客を増やすことは民間に任せ、行政は政策の実現がその役割。
問 利用アンケートの取り方は。
答 アンケートで仮説を問うべきではない。地域の生の声を聴くこと。そのためには老人会の集まりへ行き、グループインタビューやワークショップを行ってはどうか。その中でどうすればいいのか考え改善すること。
問 公共交通会議への関わり方は。
答 国の認可を取るためのものと考えがちだが、公共交通会議は地域交通を考える場である。望ましい姿を議論すること。鉄道、バス、タクシーなどからの意見を踏まえ、どう設計するのか検討することが本来の在り方ではないか。公共交通会議は深掘りするところだが、議会はお金がきちんと使われているのか、市民は満足しているのかを検討するところ、無駄ならやめるべき。議会は全般的に政策を検証すべきで、タテとヨコの関係である。

□所感
 岩倉のデマンド型乗合タクシーは昨年10月から1年間の実証運行を行っている。まだ3か月余り過ぎたところだが、行政側は1月から利用者アンケートを行い、26年度の公共交通会議(地域の公共交通について、バスやタクシーなどの事業者、国や県の職員、住民代表、自治体の職員などで構成し、会議での合意形成を行う)に改善案を提起する予定である。議会側として、議員全員で構成するデマンド交通事業特別委員会を設置し議論しているところである。
 デマンド交通は全国的にコミバスの後継として運行が広がっているが、運行形態は様々である。岩倉の実態に合った形での運行が望まれる。現在までに利用者から、「病院へ行くのは良いが、帰りの予約は1時間前までにしなければならないので予約しづらい」とか「スーパーに行けないのはなぜ?」、「行き先の設定を医療機関や公的施設だけでなく、もっと拡大してほしい」、「市外の病院へ行きたい」などの声が寄せられている。当局はアンケートだけでなく、グループインタビュー、ワークショップなど直接に生の声を聴く措置も必要ではないかと思う。
 今回のデマンド交通は、市長公約で始まったものだが、岩倉という地域の公共交通はどうあるべきかというところから議論はスタートしていないので、現在の実証運行の改善を検討しつつ、公共交通施策のあるべき姿の議論が必要ではないかと認識した講演会であった。
以上
  

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