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mc1397

2013年11月26日

研修報告

平成25年度第3回市町村議会議員特別セミナー報告書
平成25年11月25日
1研修期間  平成25年11月18日(月)~19日(火)
2研 修 先  全国市町村国際文化研修所(大津市)
3研修内容
○11月18日(月)
(1)講義「災害復興学事始め~災害からの再生と震災復興~」
   講師 山中 茂樹 氏(関西学院大学災害復興制度研究所 主任研究員・教授)
主な内容は次のとおり。
■東日本大震災では、復興をめぐって
 ☆復興と復興の衝突
 ☆防災と復興の衝突
 という状況が見られる。復興は、戻す、再建が基本であるが、地元と広域避難の人との間で、復興についての異なる考え方がある。また、防潮堤の在り方についても、考え方の違いがある。なぜなのか。津波高について専門家が信用されていないからである。
■復興の定義は、まだない。法律もなかった。東日本大震災まで
 法律・ルールなどにおいては、定義の存在は必要条件である。基本的に定義は1つである。
・災害対策基本法では、第8条3において、「災害からの復興」という字句があるが、「状態」の説明がされていない。第97条においても「災害復興の意欲」とあるが、「どのような復興」か、明確になっていない。
・失敗の始まりは、東日本大震災復興構想会議(平成23年6月25日、菅政権下の機関)の原則及び基本方針であった。原則5の中で「復興なくして日本経済の再生はない。大震災からの復興と日本再生の同時進行を目指す」とし、基本方針骨子の中で「活力ある日本の再生」「世界に開かれた復興」と明記してある。また、東日本大震災復興基本法(平成23年6月24日法律第76号)では、「日本の再生を図ることを目的」とし、基本理念の第1条では「単なる災害復旧にとどまらない活力ある日本の再生」としている。このため、巨額の復興予算の使途は、日本再生の名の下、全国で使われることとなり、被災地から「復興は進んでいない。お金は一体どこに使われているのか」という切実な悲鳴があがっている。
・阪神淡路大震災当時の兵庫県知事であった貝原俊民氏は当時、政府の復興院構想を拒否し、被災地の復興計画の重要性を説いた。
・平成25年6月21日公布の「大規模災害からの復興に関する法律」では、復興対策本 部設置と大規模災害を受けた市町村の復興計画の作成等を明記している。
■復興を定義できないとすれば、どう制度的に対応するか。  
・3つの考え方(手続論)
  ①復興プロセス論(東京都の考え方)
   市民と行政の取り組みを明確にし、壊れたものからの連続的な復興を図る考え方
  ②復興ビジョン論(首長の考え方)
   元々の長期計画を採用する考え方(例 福島県復興ビジョン)
  ③復興を定義しない
   現行法で対処する考え方で、例えば、景観法のように「良好な景観」という言葉に対 して定義をしないため、その取り方が異なる。予算の付け方のみを定めるという考え方
■なぜ、復興を定義できない?
・異なる復興観
 ①創造的復興・・・新しい未来の社会を創造する復興
 ②生活復旧(あの日に帰りたい)・・・生活基盤の回復、幸福追求権の理念
 ③統治的復興論・・・関東大震災当時の後藤新平の考え方で、理想的帝都建設の絶好の機会
 ④市民的復興論・・・人間の復興(福田徳三)
■復旧/復興とは
・復旧・・・回復、ハード、点、改良のイメージ
・復興・・・強化、ソフト、面、未来創造のイメージ
・ある町の定義
 災害復旧・・・旧に復す。災害によって壊れた施設や機能を災害前の状態に戻すこと。
 災害復興・・・災害に見舞われる前以上の活力を備えるよう、暮らしと環境を再建して いくこと。
・何をもって復興とするか
 発災後、5倍の速さで過疎化する中で、何をもって復興とするのか、その指標は何か復興は1つの指標で測れないが、はかる「指標」=豊かさではないか?ブータン国王の幸福指数化は、考え方が面白い。
・メカニズム的アプローチ
①集団主義的方法論・・・社会の豊かさを日本全体で捉える(都市復興という経済学的考え方)。
 ②個別主義的方法論・・・社会の豊かさを個々の地方ごとに捉える(人間復興という地域分配型の考え方)
 *どう調和するのか。地方議員の果たすべき役割がここにある。
■定まらない復興の主体
・復興の主体・・・国、道州制の導入、地方自治体、中間支援組織と住民、住民
・東日本大震災では・・・多くの自治体で首長や職員が犠牲となり、機能喪失のため、1つの自治体では、復興は無理である。コラボレーションが必要
・復興のスピードでも相反する考え方がある。
 齋藤誠(一ツ橋大教授)・・・数年ぐらいかけてじっくり検討する姿勢
 藤井聡(京都大教授)・・・重要なのはスピード
・復興は現地主義・・・例えば、漁業では、水産特区や協業化という政策の違いがある が、これは規模の違いによるものである。
・産業再生・・・被曝地域と津波地域では再生の仕方は異なる。
・合意形成の難しさ・・・宮城県名取市では、合意形成ができず、復興が進まない。
・識者の罠・・・識者が「規制緩和」「大規模経営」など現実を知らずに机上の空論で語っている。
・ガバナンス的アプローチ
 ①ビジョン先行・・・新しい未来の社会の創造(菅元首相)、帝都建設の機会(後藤新平)
 ②自己決定権・・・基本的人権、生存権、幸福追求権という憲法の考え方
 *ビジョンか、自己決定かの問題については、地方議員がその調整を担うもの。
■災害復興をどう考える
・大災害時代に備えて、今から考えること
 ①復興プロセス・・・事前復興(平時の脆弱性、災害後の脆弱性に対処)
 ②合意形成の準備・・・円卓方式、四面会議、アウトリーチ方式(被災者復興支援会 議)
 ③復興の主体・・・各級のコラボレーション、中間支援組織の活用
 ④復興ビジョン・・・復興基本法の策定(自己決定権、幸福追求権)
・災害サイクル
 事前復興→発災→被災援護→復興準備→復興→事前復興・・・
・事前復興3つの考え方
 ①事前復興A・・・被害の最小化につながる都市計画やまちづくりを推進すること
 ②事前復興B・・・復興対策の手順、基礎データの収集など事前に進めておくこと
 ③事前復興C・・・地域や家族の脆弱さを発見、確認し、克服あるいは回避する手立てを考え、実行すること
■合意形成の手法
・サンタクルーズの物語復興・・・Loma Prieta地震(1989年10月17日発生)
 円卓会議(市民、行政、有識者で構成)300回開催。ワークショップを通じて50年後の町を「Civic Living Room(市民憩いの間)にしよう」をキーワードに「文学のような復興」が市民と共有されている。
・被災者復興支援会議・・・阪神淡路大震災後の復興について、当時の貝原兵庫県知事の考え方(行政だけでは対応でき ない。公的でも私的でもなく、その中間の公共的領域で機能する人がたくさん出てくる社会こそ成熟した市民社会)に基づき設置された。
・4面会議システム・・・世界中で注目を浴びているこのシステムを関西学院大学総合政策部の授業に取り入れ、リベートし アイデァを出す演習をしている。
*復興は、さまざまなコラボレーションで行う。
■共有できるビジョンを
・わかりやすい言葉、キャッチフレーズが住民を惹きつける。
  貝原元兵庫県知事・・・住まいの復興無くして復興なし
  長嶋元山古志村村長・・戻ろう 山古志へ
  菅原気仙沼市長・・・・海と生きる。
・南方熊須の「事の学」・・・「こころ」という支援、「モノ」という支援の重なったところに「事」がある。これを見つけ出すのが政治センスである。
・統治的復興と市民的復興
 ①統治的復興・・・行政は、救急・救命、仮設市街地、連続復興(地域に見合った復興)、防災(復興を踏まえた防災)を目指す。
 ②市民的復興・・・NPOや市民は、ボランティアによる被災援護、NPOによる復興(自己決定権、幸福追求権)、NGOによる復興・回復(市民主権)、事前復興(脆弱 性の発見)
 *この二つを橋渡しすることが議員の役割であり、政治、学問である。
□質疑応答
 問 復興のためには財源の問題がある。どう確保するのか。
 答 16年間議論されている。兵庫県ではフェニックス基金で対応している。3つの考え方ある。一つは特別交付税から5%を積み立てる考え方、二つ目は全国の市町村から基金 として集め、大災害時に充てるという考え方。三つ目は振興協会のような外郭団体から集める考えがあるが、省庁が抵抗している。固定資産税の上乗せという考えもあるが、 資産の無い人や払わない人への対策がネックである。
 
(2)講義「これからの地方議員のあり方」
    講師 大森 彌 氏(東京大学 名誉教授)
  主な内容は次のとおり。
① 地方自治制度の経緯
・戦前の都道府県知事は国の役人であったが、戦後GHQの影響で公選制が導入された。 
・国は、知事をコントロールするため、通達で縛りをかけた(機関委任主義)が、1990年からの地方分権改革により解放され、自治体議会も変化した。
・分権改革は、地域に合わせた決定が重要だが、議会は適応しているのか。
・地方自治法が改正され、議決事件のうち基本構想の義務付け等が廃止され、自治体の条例化が根拠となったが、議会の点検や関与を考えること。
②議員定数上限規定の撤廃とその後の対応
・地方自治法改正の中で、議員定数上限規定の撤廃があるが、議会はどう対応しているのか。自分たちで考えること。その他報酬や手当、政務活動費の問題もある。議会は憲法上、議事機 関、必置機関として制度上保障されているので、議会が自治の砦として考えること。
③地方公共団体の意味
・GHQ草案では、地方公共団体は「府県、市町」の種類であったが、時の政府は、この草案では窮屈であるとして「府県、市町」ではなく、普通地方公共団体と特別地方公共団体とし、普通地方公共団体を「基礎自治体(市町村)と広域自治体(都道府県)」で構成している。
④執行機関と議会の関係
・これは権限と調整の問題で、法で規定している。
・圧倒的に執行機関が優越であり、国にコントロールされている。議会は議決権があっても脇役である。
・執行機関・・・自治法上は法人格を有するが、人格はない。権利義務の主体で、執行する効果は自治体に帰属する。職員は補助機関となる。企画立案し、執行するが嫌なことはやらない。強みは予算編成権、条例案提出権で、議会の審議に参加できる。
・議事機関・・・人格を有するが、議員個人の人格は関係ない。問題は役割であり、機関の一員と して何をするのかである。企画立案のプロセスができないため、監視機能が果たせない。自分たちで企画立案ができなければ、自己評価は無理である。
・評価の前提は自己評価で、その後第三者評価を行う。
・政策案を議会の会派で提出することは可能だが、現実は執行機関頼みなので無理である。
・議会に予算編成の権限を移すと一変する。
⑤議会事務局
・職員は議会と首長の調整を行うが、スムーズにいくことを願うため、自主規制する。議会のため に働くことは現状では無理なのではないか。政策化などのミッションを与えてはどうか。
・増員は無理だろうから、議会事務局の共同設置は可能だが、当分は無理なので、工夫すること。
⑥議員の性質、職務
・性質・・・当選後、任期4年、1日24時間、365日の任期だが、勤務時間なし、職務専念義務なし、 議会活動だけが仕事ではない。職務をきちんと果たすこと。
・職務・・・議会の権限を果たすこと、そのためには議会基本条例の制定が必要である。
・議会は合議体であり、住民の参加は必要ないと思っている。住民の声を反映する装置がない。公聴会、参考人の制度の活用をすること。陳情、請願にしても、口頭で発言させてはどうか。住民との関係を持つことが重要である。
⑦住民との回路
・議員の活動は見えていない。定数減や報酬削減が関心事となる。
・議員の求められる資質・・・選挙で問われることはない。テストは票のみ。議会基本条例はローカルルールであり、その中で議員の振る舞い方などを定め選挙の洗礼を受けるべきである。
・権力の行使は当然なので、自制心を持つこと、おごってはならない。首長の暴走を止めること。
⑧地域を開く政策を考えること
□質疑応答
問 選挙において何が大事か。
答 選挙に行く人は奇特な人か、律義な人か、本人に身近な人や集団で、その人の判断となる。議員はそれにとらわれてはいけない。この切り分けははっきりさせること。利益誘導はダメである。
問 議会事務局職員の人事異動への関与は。
答 議事機関は執行機関に関与してはいけない。必要性(仕事、職務への能力)は主張すること。
問 事務局職員を県レベルで採用してはどうかとの考えについては。
答 広域的に理論上はあり得るが、県議会との仕組みが異なる。市町村を従わせる動きとならないか。仕事を共同化するという共同設置の考え方もある。

○11月19日(火)
(3)講義「地方財政の課題と方向性」
    講師 佐藤 主光 氏(一橋大学経済学研究科教授、同大学国際・公共政策研究部国 際政策大学院長)
主な内容は次のとおり。
■一体改革と地方財政
①消費税増税
・2014年4月に8%、2015年10月に10%と2段階で引き上げ
・目的は、全額を社会保障の財源にするもので、13.5兆円程度のうち2.7兆円程度は社会保障の充実(子ども・子育て支 援 の充実など)、10.8兆円程度は社会保障の安定化(基礎年金国庫負担など)に充てられるが、実体は借金の穴埋めとなる。
②一体改革と地方財政
・国だけの改革ではなく、地方との関わりがある。
・消費税増税5%のうち2.18%が地方分となる。
・社会保障サービスの多くは地方自治体が担っている(例:介護・医療、保育所等)
・消費税の引き上げは地方消費税の増税、交付税の拡充を伴う。
③地方法人課税を巡る動き
・地方法人課税(特別税・譲与税)は2008年に創設されたが、これは「税制の抜本的改革において遍在性の小さい地方税 の体系の構築が行われるまでの間の措置」という暫定措置である。
・財政審議会は、地方法人課税のあり方等を検討し、地方税の法人住民税の一部を国税化し、地方交付税として自治体に再配分するという報告書をまとめた。これは消費税の引き上げで、自治体間の財政力格差が広がる可能性があり、企業などの多い都市部に税源が偏る地方法人課税を見直すべきと判断したものである。
・法人税率(実効税率)の国際比較によると、日本の税率は40%(復興税を止めると35%)、フランスは33%、ドイツは25%、イギリスは24%、アメリカは40%と、企業課税は高い。
・地方法人課税の特徴は、対外的には「高い法人実効税率」、対内的には「高い地方法人課税依存」であり、このままいくと、対外的には「国内に立地する企業の国際競争力の低下」、対内的には「税収の不安定、地域間格差」という帰結となる。
■我が国の地方財政
①日本の地方財政制度
・地方自治体は公共支出(国+地方)の6割強を占め、公共部門で果たす役割は大きい。
・地方自治体の公共サービスは教育、生活インフラ整備、生活保護、医療・介護にまで及ぶ。
・しかし、中央政府が政策を立案し、財源を確保し、自治体が「執行」するという仕組みであり、自治体は裁量的に支出を担っているわけではない→地方は国の政策の執行機関(集権的分散システム)
②国と地方の財政関係
・税収比率(国:地方=6:4)と歳出比率(国:地方=4:6)の違い(垂直的財政力格差)は補助金で埋め合わせ
・「一つの財布」として、国は交付税や補助金で地方の面倒をみる仕組み→最終的な財政責任の所在が曖昧となる。
③集権的分散システムの二つの顔
・国は関与や規制(自治事務、法定受諾事務)により地方に支出し、地方は国の財源保障(一般財源、交付税、国庫補助金)により執行する仕組みであり、国の財源保障制度がある限り、地方の自由度は奪われ、自立は難しい→国の関与と地方の甘えという二つの顔がある。
■地方財政の現状
①厳しい地方財政の現状
・90年代以降、国、地方の財政状況は悪化→公債(国債、地方債)の累積→地方債残高約200兆円(GDP比40%)
・国の財政悪化、構造改革に伴う財政移転の縮減→地方自治体の財政の疲弊
・国からの補助金によって支えられた地方財政→国が財政的に行き詰まれば地方財政も破綻
・「過去の清算」としての財政健全化→遅れれば「ツケ」は将来世代に先送り
・責任の所在の曖昧さ
②地方財政の悪化は誰の責任?
・地方6団体は「景気対策など国の施策の誘導に利用されたことが多額の借金を抱える要因の一つ」、総務省は「国が赤字国債に依存した財政運営を行った結果」としている。一方、財務省は「地方よりもはるかに厳しい国の財政事情を考慮すき」の考えで、国と地方の不明瞭な責任関係と「国と地方の持たれあい」が現状である。
・悪化する財政・・・公的債務残高対GDP比率は200%を超えており、諸外国の90~130%と比較すると、その突出ぶりが明白である。
■地方税制の課題
①地方税の特徴
・平成22年度決算によると、歳入に占める地方税の割合は35%程度である。
・特徴その1:多様な税目
・特徴その2:法人課税への依存
・特徴その3:税収の不安定
・特徴その4:地域間格差
・特徴その5:法人課税に偏った課税自主権
②経済に優しくない税制
・国際的に見ても高い法人実効税率
・「失われた20年」の中、企業の活力を奪い、企業活動を阻害する経済に優しくない税制になりつつある。低成長に見合った税制になっていない。
・税制の指針として、経済活動を阻害しない税体系の構築が求められる。
■なぜ迷走するのか?
①建前と実態
・美しい建前(理念)・・・応益負担(受益に応じた負担)
・実態(本音)・・・取りやすいところから取る。
・帰結・・・実態を見ていない税制→税負担の転嫁(消費者、労働者)、国内の雇用の喪失
②公平感に混乱
・税の公平感
 応能原則:担税力に応じた税負担(国税の原則)
 応益原則:受益に応じた負担(地方税の原則)
 均等割への公平感:応能原則は「所得の多寡によらない課税は不公平」、応益原則は「受益者に対する課税で公平」
・ねじれた「応益原則」
 本来、「応益原則」は法人二税のみならず、住民課税(個人住民税・固定資産税等)にも適用すべきものだが、住民課は 「政治的配慮」から応益原則が不徹底のまま。
③屋上屋を重ねる改革
・既得権益との対立を避けるため、現行制度の根本を変えることなく、新たな制度を創設することで対応→制度のさらなる複雑化
■地方分権時代の税制
①地方税の課題と改革
・改革の課題:制度改革
・税収の安定化、格差是正:税源の見直し、法人二税依存度の引き下げ、地方消費税の引き上げ
・地域住民のコスト意識の喚起:地方税負担の所在の明確化
・グローバル化への対応:法人課税の実効税率の引き下げ
②国税に隠れる地方税の負担
・地方消費税率は消費税(国)率に賦課(25%)→消費税を増税すれば自動的に地方消費税も増税
・地方交付税は「地方固有」の財源だが、国が地方に代わって徴収し配分する地方税→納税者は国税の一部(32%)が交付税に充当されると認識しているのか疑問である。
③望ましい地方税の条件
・収入の安定性
・地域間で偏在しない。
・固定性=課税ベースが地域間で移動しない。
・財政責任
    ↓
 住民と地方自治体が「正面から向き合い、自らの責任と負担で施策を進める姿勢」を促進
■改革のメッセージ
・社会全体:新しい経済環境に適応した税制の再構築→高度成長型(企業課税を軸)からグローバル経済・高齢社会対応型(消費課税を軸)への転換
・地方自治体:高度成長型(産業インフラの整備)から成熟・高齢社会型(対人給付・サービスが中心)への受益構造の転換(国からの財政移転、企業立地を充てにしない安定的な税源の確保、安定的な公共サービスの提供)
・地域住民:税金は地域社会への参加の対価、応益原則(広く薄い課税)は低所得者への配慮とは矛盾しない。
□質疑応答
 問 公会計の導入や臨時対策債への対応は。
 答 公会計は「コストの見える化」であり、住民に対しサービスとコストを示す意味で大切である。臨時対策債の元利償還 は交付税で手当てすべきものだが、交付税総額に上乗せされていない。臨時対策債はリスクマネジメントとして考えること。
 
(4)講義「地方自治と議会改革」
    講師 片山 善博 氏(慶応大学法学部教授)
主な内容は次のとおり。
■地方分権と議会改革
①地方分権の推進
・中央集権体制の下であっても、地域のことは地域の住民で決めるという地方分権の流 れは変わらない。官僚は地域のことは分からない。
・安倍政権は外交、防衛、経済、金融に力を入れており、地方分権は〃休み〃の状態にある。この機会を活かし、有効に考えること。
②議会改革
・議会は変わらなければならない。疑問を持ち変えて行くこと。
・議会は地方自治体の最高の意思決定機関で、重要なことは議会で決める。
・議会は条例で緩和や規制など重要なことを決めることができるが、具体なことになる と腰が引ける(総論賛成、各論は躊躇)。
・市議は住民にとって身近な存在なので、住民の意見を聞き、反映させること。そのため には信頼感が大事である。
■住民から見た議会への違和感
・大学のフィールドワークで議会に傍聴に行くと、警戒心があり、嫌がられる。歓迎されていないと感じる。議会を見てほい。傍聴に来てほしいとの思いを持つこと。
・傍聴についての過度の注意事項がある。かつて傍聴人取締規則があった。傍聴席と議員席が同じフロアーでないところがある。開かれた議会の観点から、市民目線で見直す。
・請願にも違和感がある。「提案」でいいと思うが、法の規定上やむなし。紹介議員を通じて行うのはなぜか。総務大臣当時に改正を考えたが、国会も同じ扱いのため断念したが、紹介議員が要るのか。市民の権利行使を守るために当番制にしてはどうか。また、請願の趣旨説明にしても、制度がないため、会派ごとに説明しているが、なぜ1回で済ませないのか。全員を集めるとかできないものか。議員にとって当たり前でも、市民から見て違和感はある。委員会で発言させてはどうか。市民提案に耳を傾ける姿勢をとること。
■議会運営
・議会はいつ行けばいいのか。会期日程は分かるが、予見ができない。議題ごとに運営していない。アメリカでは、いつ行うのかを決め、周知され、運営でもパブリックヒアリ
ング(市民意見)を最初に行い、賛否を市民が示し、議員がディスカッションし、個人ごとに賛否し採決する。
・日本の議会は、審議経過が不明で、採決結果のみのため、住民は関心が持てない。
・何をいつ行うのか分からないということは致命的欠陥である。
・アメリカでは一人一人が意見を出すという議会中心の運営だが、日本では議員中心の運営で、会派で結論を出している。小学校の学芸会と同じではないか。議員全員で発言すること。
・学識者や住民、専門家などの参考人質疑を実施してはどうか。国会では重要なものは採決前に行っている。議案全部は分からないので、分からないことは参考人に聞く。参考人に聞けば問題点は分かる。
□質疑応答
 問 請願と陳情の違いは。
 答 陳情は紹介議員がなく、おざなりな扱いとなる。請願は採択後、アフターケアされ る。請願はハードルが高いので下げることを考えてはどうか。
 問 通年議会の考え方は。
 答 条例で会期を定めるため、従来と変わらない。メリットはその都度の招集行為が省略されること。アメリカと同じように、毎週何曜日、月何回という定め方をしてはどうか。議案中心の運営を考えてはどうか。そうすれば議会運営が変わる。
  
□所感
  第1講義については、東日本大震災から2年8か月が経過しても、復旧・復興は遅々として進んでいない。今もって20万人が避難生活を送っている現状である。高台移転の合意形成、産業の復興、除染対策など課題は山積している。山中先生の「災害復興学」は、こうした現状に対し、学問的分野からアプローチするもので、防災対策や現地の復興状況などの様々なアプローチとは視点、切り口が異なり、理論的に課題や問題が整理され、その解決方策の方向性が示された講義であったと思う。地方議員として、何をなすべきか。山中先生は行政と市民との調整役、行政と市民団等の橋渡し役こそ地方議員
の果たすべき役割ではないかと提起されたことを受け止めて、体現化することが重要と
認識した。
  第2講義については、大森先生の講義は、今までもこのセミナーにおいても岩倉市においても聞く機会があり、自治法の権威として、自治の原点、議会や議員としての役割など示唆と刺激を受ける内容であった。住民の一番身近な存在として行動すること、議会の一員としての役割をきちんと果たすこと、政策立案力を高めること等を再認識した。
  第3講義については、国・地方ともに厳しい財政状況は依然として続いている。アベノミクスで景気浮揚感があるものの、消費税増税の負担感がどの程度になるのか、予測できない。税収の安定化につながるのか、景気動向を注視しなければならない。佐藤先生の講義を聴き、消費税は打ち出の小づちではなく、時代の流れにあった抜本的な地方税制改革こそ求められるものであると認識した。地方分権が権限移譲等で進展する中、財源の裏付けが全くされていないのが現状である。国と地方の役割分担は法制化されても裏付けとなる財源が移譲されていない現状を、どう変えていくのか。地方議員に課せら
れている課題であることを念頭に、今後の議会活動や議員活動に取り組んでいきたい。
  第4講義については、鳥取県知事、総務大臣そして大学教授の経験を持つ片山先生の講義は示唆に富んだ内容であった。傍聴、請願、議会運営のそれぞれの在り方は住民の目線に立って、改めて考えることが必要ではないか。そうすれば議会は何を改革すべきか明確になると思う。まずは議員間のディスカッションを活発に行うことから始め、問題意識を共有化することが大切ではないかと感じた。
  今回の研修は、大学教授からのアカデミックな講義であったが、いずれの教授もその道の権威であり、実践的かつ刺激的な内容であった。大切なことは、研修をそのままにしておくのではなく、気付いた者が行動に移すことではないかと思う。議員の集合体であり、合議体としての議会が住民の意見に耳を傾け、議論し、解決や改善は何かを考え、行動することではないかという原点を再認識した研修であったと思う。
ㆳ.￿  

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