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mc1397

2013年02月10日

研修報告

平成24年度 第15期自治体政策特別講座受講報告書
                                   平成25年2月10日  
1開 催 日 平成25年2月4日(月)10:00~16:50
2会 場 東京都千代田区 自動車会館
3主 催 者 自治体議会政策学会
4講座内容
○第1講義「予算書はこう見る-歳出からみる自治体の姿」
   講師 町田 俊彦 氏(専修大学経済学部教授)
   主な内容は次のとおり
Ⅰ地方自治体の予算と財政民主主義
1財政民主主義が問われる予算
(1)財政民主主義
 4原則(ただし、地方自治体の適用は②と③)
①租税賦課の議会承認:立法権は国が独占するため、適用の余地は乏しい。
②歳入・歳出予算の議会承認
③決算の議会承認
④二院制の場合の下院の優先:地方議会は一院制のため、適用されない。
(2)予算書と予算説明書
・予算書は、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費、債務負担行為、地方債、一時借入金、歳出予算の経費流用の7項目で構成される。
・予算説明書は、歳入歳出予算事項別明細書、給与費説明書、継続費に関する調書、債務負担行為に関する調書、地方債に関する調書の5項目で構成される。
2予算原則における「単一予算主義」と会計区分
・予算原則:議会や国民から見て、予算は民主的で明瞭であることが要請される。
・日本の予算は、予算が多数で、かつ、会計間で錯綜した資金の出入があり、「単一予算主義」の原則が侵害されおり、行政主導型の財政運営に主眼を置いた予算制度である。
・「単一予算主義」に反し、地方自治法は、一般会計と特別会計の2種類を規定している。
・総務省基準による会計区分:普通会計と事業会計(公営企業会計、国保会計、介護保険事業会計など)
3「会計年度独立の原則」と後年度負担
・例外規定:繰越明許費(公共事業)、継続費、債務負担行為
・後年度負担:継続費と債務負担行為は、後年度の新規の予算計上を伴う。
4「財政健全化法」と予算
(1)「財政健全化法」
・健全化判断比率は、①実質赤字比率、②連結実質赤字比率、③実質公債費比率、④将来負担比率から成る。4つの早期健全化基準のうち一つでも基準を超えると、イエローカード、3つの財政再生基準(①~③)のうち一つでも超えると、レッドカードとなり、国による統制と支援を受けることとなる。
(2)予算の多様化と健全化判断比率
・旧再建法では、破綻の基準は普通会計のみで、指標も実質収支の赤字比率のみであったが、財政健全化法では、普通会計のほかに一部事務組合、広域連合、地方公社、第三セクター等にまで広げている。破綻法制の見直しの一つの契機になった夕張市の財政破綻に見られるように、破綻の重要な原因は第三セクターなど普通会計の外側にあるケースが多い。夕張市の場合、一般会計が原因ではなく、公社の一時借入金が原因であり、雇用との関係で甘さがあったと思われる。
(3)後年度負担と健全化判断比率
・後年度負担を伴う債務負担行為も健全化判断比率で算入される。
・一般会計等の前年度末の地方債現在高だけでなく、公営企業、一部事務組合の地方債等も含まれる。
5会計の多様化、後年度負担に着目した財政分析
(1)健全化判断基準の基礎指標への着目
・健全化判断基準の算出では、会計の多様化、後年度負担に対応した普通会計決算のみでは得られない指標であり、財政分析に有効に活用できる。
(2)「財政状況等一覧表」による財政分析
・従来からの「決算カード」に加えて、「財政状況等一覧表」が作成及び公表され、財政健全化比率の基礎指標が明らかになっている。危険なところをあぶり出すことができる。
・一般会計の外側をきちんと分析すること。
・広い会計からの分析をすること:公営企業会計等の財政分析、一般会計の繰入額、一般会計等の財政分析、財政指標の状況
Ⅱ自治体の予算と政策要求
1予算書から歳出の重点・変化を読む
(1)予算規模:特定財源(国県支出金等)、一般財源で補助事業、単独事業の使途を見極める。予算規模が縮小か拡大か、それはなぜかを読み解く。
(2)歳出の科目:款、項、目の中で、特徴が出るのは目の事業費であり、その増減に着目する。特に民生費は国の政策の動向に左右される。
2政策と予算を関連付ける
(1)長期計画とリンクした中長期財政計画は策定されていない。地方交付税や国庫支出金などの依存財源が多くを占めているため、国の影響を受けやすく、財政の計画化を妨げている。
(2)主要事業について、予算書との関連、財源内訳を示す予算情報を財政当局に求めていくことが望ましい。
*清瀬市では「わかりやすい予算書」を作成している。例)「将来を担う人を育てるまち」という施策カードに、事業名、事業費、財源内訳、概要を記述し、予算と事業をリンクしている。
Ⅲ普通会計の歳出:決算カードで5年ごとの動向を掴み、長期的に分析する。
1目的別歳出:政策目的により分類した地方自治体の歳出で、民生費、土木費、教育費、公債費が4大費目で、その他議会費、総務費、衛生費等がある。歳出規模の抑制の一方で、民生費が拡大するなど構成に変化がある。
2性質別歳出
(1)性質別歳出の構成
・義務的経費:人件費、扶助費、公債費等
・投資的経費:普通建設事業で、補助事業、単独事業がある。
・その他経費:物件費、維持補修費、積立金、繰出金等
(2)投資的経費から義務的経費と「その他の経費」への構成変化
・経済の長期停滞の下で、投資的経費は縮小し、反面、義務的経費のうち公債費、扶助費が上昇している。
(3)財政硬直化の歳入要因と歳出要因
・財政硬直化:税収が減少しても縮減できない経費により、赤字公債への依存を余儀なくされる状態
・地方債は従来、建設債であったが、税収不足を補うことから、赤字債(臨時特例債、減収補填債)が増加し、財政硬直化の一因となっている。
・赤字債について、国は、元利償還金は地方交付税に算入するというが、国税の一定割合だけで交付税の措置ができず、交付税特別会計で補っている。このため標準財政需要額を調整して交付税そのものを抑制しているのが現状である。
・市町村合併の自治体は、公債比率が増加し、イエローカードの自治体がある。
・市町村の経常収支比率は、2000年度~2005年度に83.6%から90.2%に6.6ポイントも大幅に上昇している。
・財政硬直化は新規政策の余地を狭めるので、スクラップ&ビルドも必要となる。単なる施策の縮小、廃止ではなく、自治体の総合行政の強化、公民協働など新たなサービスの導入などにより、少ない財源で政策効果を発揮する試みが必要である。
Ⅳ自治体の福祉関係費
1民生費の動向
(1)社会保障の単独事業
・ 「社会保障と税の一体改革」の政策過程において、自治体の福祉関係費の単独事業費が問題となった。
・消費税増税分(5%)を国費に充てることに地方から反発があり、総務省が単独事業調査を行った結果、自治体の単独事業費が6兆円強であることが判明した。
・市町村の単独事業費の構成を見ると、医療が41.7%、子ども子育て支援が29.6%であり、この二つで7割強であった。
・一般財源等の充当先から社会保障の単独事業の事業別内訳を見ると、市町村では公立保育所が14.9%で私立保育所を合わせた認可保育所関連で2割強を占めている。国保、後期高齢者医療介護関連で3割強を占めている。
(2)自治体の独自施策
・ 自治体の福祉関係費の多くは補助事業の地方負担額として支出されている。
・単独事業費の多くは補助事業とリンクした経費である。これは国の補助事業の枠内では住民ニーズに対応した給付、負担水準に達していないからである。
・社会保障分野の自治体の独自性は次のようである。
①補助事業である認可保育所等社会福祉施設の整備をどの程度進めるのか。設置と運営で直営にするか民営にするか。
②認可保育所等の社会福祉施設の給付、負担水準を厚労省基準からどの程度充実させるか。
③老人医療・介護等のどのような供給システムを選択するか。
④乳幼児医療費の無料化を何歳まで適用するか。
Ⅴ自治体の福祉関係費の新たな政策領域
(1)「子ども・子育て新システム」
・ 消費税10%化で社会保障費は7千億円が充当される予定である。
・国の2013年度当初予算では、公共事業は15%伸びているが、別枠の一括交付金が廃止されるため、実際は横ばいである。
・社会保障費では10%の伸びとなっているが、年金の国庫負担(1/2)を特例債としたための伸びである。
・待機児対策として、民主党の総合子ども園が廃案となり、三党合意で認定子ども園が新たに創設される施設型給付として政策化(認可保育所の増設)される。
・幼保一元化政策として、就学前教育の充実化が進められる。縦割りは残るが、教育に差はつけないもの。
(2)都市自治体の就労支援策
・ 釧路市の例:生活保護対策として、NPOが就労支援をしている。
・豊中市の例:商工労働部が一元管理し、カウンセリングから就労までを働きかけている。また就労先を新規開拓し、会社に定着させるべく企業と連携、協力をしている。
・静岡方式:事前準備(セミナー、スキルアップなど)は少なくし、早く就労させている。これは実際の職場で体験するほうが実践的、効率的との考え方からである。
Ⅵ「内需創造型経済」への転換と自治体の役割
・「内需創造型経済」へ転換する上で、自治体の重要な役割は、財政レベルの改革を「三位一体改革」で終わらせることなく、更に進めることである。自治体の福祉、教育サービスを再生しつつ、幼保一体化施設の整備、就労支援といった新たな政策を展開する。そのためには自治体の財源を強化することが不可欠である。
・住民の生活に視点を置いて、「協調型」「統一型」分権システムを目指すべきである。
・最優先の政策課題は「税源移譲」と自治体参加によるナショナルミニマムの再生である。

○第2講義「政策実現に職員を活かす-住民の役に立つ公務員制度-」
   講師 太田 肇 氏(同志社大学政策学部教授)
    主な内容は次のとおり
Ⅰ改革論議の死角
1「公務員改革」論議に欠けているもの
・「民間では・・・」とよく言われるが、民間の良いところを取り入れる議論がない。
・大切なのはモチベーション、アウトプット、効率性
役所は利益より顧客満足(CS)で、職員のヤル気が大事であり、このことの議論がない。
・大胆な組織とマネジメントの改革が必要
行革の議論は制度論で終わっている。組織マネジメントの改革が必要である。
2なぜ、行政の組織やマネジメントが変わらないのか
・行政学者は制度論止まりで終わっている。経営学者は行政に立ち入らない。
・ 欧米では、民間と役所の壁はない。人事担当者は民間と役所を渡り歩くので両方が分かる。
・ 職員のホンネを求める努力がない。改革が骨抜きとなっている。
・ 枠組みを前提とする限り、改革には限界がある。
3近年の環境変化
・職員やポストが減り、給料が下がっている。
・その一方でヤル気を出せと言われる。どう仕事をさせるのか。
     ↓
・期待される「行政のプロ」としての公務員:プロとしての働き方、心構え、問題解決能力、組織の仕組みと制度を変えること。
4私見
・公務員の潜在的な意欲や能力は、十分に活かされていない。
・旧来型のパラダイムを変えること。
     ↓
・少ない職員数で、もっと生産性を上げることは可能
・職員は選択と集中に貢献できる。
・余力があれば、新しい仕事に振り向ける。
・アウトプット(成果)につながる質の高いモチベーションの職員の育成
Ⅱ職員のヤル気を殺いでいるものは何か?
1何が、ヤル気と能力の発揮を妨げているか?
①過剰な管理「職」:役職者が多い。細かく口出しをする。釣鐘型職員構成のため、若い職員が仕事しにくい。原因は安易な処遇。
②過剰な評価、過剰な管理
③集団主義:役所に残っている。若い職員は一人のほうがヤル気が出る。数人で行うと効率が悪い。欧米では一人で担当するのが普通である。個人の分担がはっきりしているほうがチームワークが良くなる。自分から働きかけたり、協力したりする。
2過剰な人事評価の弊害
・「正しい評価」と「細かい評価」は別。むしろ対立:評価の複雑さが細かくなる。
・過剰な評価が職員を萎縮させ、不満を増加させる:人事評価の項目数が多く、しかも5~10段階評価で、コンサルタントが作成したものを使用している。
・基本は、理由があれば差をつける。なければ差をつけない:欧米では3~5段階評価。伸びる会社は3段階評価
3過剰管理の弊害
・“やらされ感”をもたらす:モチベーションの低下、頑張っているフリをする。終業時だけ頑張る。
・職員の自立、自律を妨げる:自分の頭で考えない。
・「官僚主義」を引き起こす:防御手段が「官僚主義」。ルールを盾にそれ以上のことはしない。気を利かせない。
・不祥事減少に逆効果:規律を徹底すると、
①自尊心が低下→違反の増加
②判断力、責任感の低下
③意識が内向きになる→上を見て仕事する。市民が後になる。
     ↓
  組織的不祥事が発生する。
4成果主義が公務員になじみにくい理由
・成果の基準が不明確の上、目標管理が難しい。そのため現場では骨抜きとなる。
・欧米では、一般職員には成果主義は取り入れていない。
Ⅲヤル気の源泉は何か?
1「スーパー公務員」にみる、ヤル気の3要素
①自律的に仕事をしている:自分の判断で仕事をする。
②認められる機会に恵まれている:市民からの感謝、上司から褒められる、仕事を任される、新聞に載ったなど仕事が認められる。
③「外向き」に働いている:市民や社会を見て仕事をしている。
Ⅳこれまでの組織と、これからの組織
1求められる公務員像の変化
・(旧)事務処理型:与えられた業務を粛々とこなす。
・(新)プロ型:行政のプロとして使命を果たす。
 組織の枠組みを変える。骨格を作り直す。リフォームする。
2改革のポイント
①組織をフラットにする:首長、部長、課長、チームの4階層が理想。次長や課長補佐はスタッフとする。
②個人担当制にして、権限と責任を明確にする。浮いた人員は新規事業へ。管理職は管理責任を取るが、仕事は基本的に任せる。
③専門職型のキャリアアップのコースを増やす。
④住民の中に入って仕事をさせる。
3「プロ型」組織のメリット
・少数精鋭で、人件費が節約できる。
・意思決定の迅速化、機動的な組織
・職員のモチベーション、責任感の向上
・自己責任で仕事ができる。
・専門能力の向上
・超過勤務の削減:集団で仕事をすると会議時間がかかるが、自分のペースで仕事ができる。頑張っているフリをする必要がない。
・部下は伸び伸び仕事ができる。
Ⅴヤル気と潜在能力を引き出すマネジメント
1自律性を高めるには
・仕事の能率を上げるには、働きやすい条件を与える。
・時間による管理は極力小さくする。
・プロジェクトチームの多用
・FA制度などの導入:キャリアを自分で選択。本人の意思によらない異動は日本だけである。
・組織のフラット化で個人の裁量権を拡大する。
・「川下」の管理:現在は「川上」という目標管理型。これを「川下」という成果主義に変える。
・権限と責任の明確化:個人担当制の導入
2職場環境の見直し
・大部屋制度の見直し
・デスクに30cmくらいの仕切りを入れる。
・蜂の巣型配置:外向きに配置する。
・フリーアドレス型:席を決めずに、どこで仕事をしてもよい。
・スマホ、携帯などを積極的に活用する:不在でも連絡が取りやすい。休暇が取りやすくなる(緊急の連絡でも対応ができる)。
3認められる機会を増やし、「外向き」で仕事をさせるには
・公務員は承認されたいという「承認人」:ヤル気を引き出す要因は、成果、褒められる、評価
・「ほめる」取組:表彰制度の活用。軽い表彰で良い。コストがかからない。
・自分の名で仕事をし、発言する機会を増やす:講師、投稿など
・市民に存在感を示す:現業でも、食育や調理など市民向けに実践する活動を行う。自分をアピールする。
・転職をタブー視しない:40歳くらいのときに選択の機会を与える。
Ⅵまとめ
・ 予算や人員が減少する中で、これまで以上に職員の意欲と能力を引き出さなければならない。
・ポイント①「事務処理型」から「プロ型」へ組織改革:人員の減、モチベーションと能率はアップする。
・ポイント②外部資源で動機づけるという戦略:承認、外部での活躍、転職の機会
     ↓
・住民サービスが向上し、行政に対するイメージがアップし、職員の働きがいにもつながるという三方良しとなる。
 <質疑>
 問 地域担当制について、職員が休むと弊害が出る。まとめる職員がいない。どう考えるのか。
 答 賛成である。ただし地域に癒着しないようにする制度が必要である。うまくいくには数年かかるので、弊害だけで元に戻さず、長い目で見ること。
 問 職務職階の給与制度と組織のフラット化の関係は。
 答 専門職として大きな仕事をさせ、管理職と同じ処遇をすること。資格で処遇することもある。
 問 独裁的な首長がいる。職員の半数が非職員化している。何ができるか。
 答 首長が変わると制度が変わる。職員がプロとして説明・提案できる力をつけること。
 問 組織改革は議員として、どう働きかけができるか。
 答 制度改革はトップが行うもの。改革にはミドル層の抵抗があるが、損がなければ抵抗しない。
 問 フラット化のイメージは。
 答 担当者の持ち味、強みで職務を担当するが、お互いに補っていくというイメージ。

○第3講義「政策の選択と集中はどう行う-財政規律と条例づくり」
   講師 西寺 雅也 氏(名古屋学院大学経済学部教授、元多治見市長)
   主な内容は次のとおり
1政策を巡って最近起き始めた住民・議会による「ノー」の声
・中津川市:図書館建設の反対運動が起き、市長が辞職し、選挙へ。現職の大敗。
・笛吹市(山梨県):アリーナ建設で反対署名があり、市長選挙で現職が大敗。
      ↓
・市民が市政に敏感になっている。その背景として、大型合併後の特例措置による財政規律に弛緩し、財政危機にも何もしよう としない首長や行政に批判がある。
・旧来型の首長、行政による一方的な政策決定に対する批判が強まっている。
      ↓
・住民、議会の「参加」が問われている。
2政策の「選択と集中」のために不可欠な「総合計画」
・総合計画策定作業は、住民、議会、首長(行政)による合意形成こそ必要である。
・行政だけで策定される「実施計画」も大衆討議の対象にし、基本構想-基本計画-実施計画という三段階の計画づくりを考え政策体系ツリーを作る。
・そのためには多様な「参加」の仕組みを考える。
・首長のマニフェストに基づく総合計画の見直しを行う。
・基本計画レベルまでを議決事項とする。
・財政計画と総合計画の関連付けを明確にする。総合計画による政策展開を図ることで財政の健全化を図る(相互補完的な関係)。
・政策主導の予算編成とする。
3中長期的な地域社会を展望する中での「財政」を考える
・人口減少への対応:人口8000万人時代が到来する。風景が変化する。空き家、空き地など元に戻せない事態となる。持続可能性が課題である(住宅団地、農村、中心市街地の空洞化など)
・生産年齢人口の減少:税の減少になる一方、高齢者の増加で社会保障・福祉関連経費の急速な増加を招く。
・過剰となった公共施設、老朽化した公共施設:施設のスクラップを計画的に行う(行政財産から普通財産に転換し住民の自主管理へ。民間と競合する施設の売却)
・人口減少に合わせた施設計画:補助事業には慎重に対応する。社会的基盤は充足されている。これから何が必要かが問題 となる。
・かつて交付税が14兆円から21兆円へとばら撒きの時代があったが、これが一挙に財政を悪化させたことを想起し、景気浮揚 のための「公共事業」には安易に乗らない覚悟を持つこと。国が何とかしてくれるという幻想は持たない。
4財政規律とは何か
・将来にわたって、財政の健全性を維持するための計画性とマイナス要因を組み込む意識を持つこと。
・「利益の配分」の時代から「負担の配分」の時代へ:政治家たちの意識改革(議会こそその意識を)
・数値目標による財政管理:行政内部だけでなく、住民・議会での議論を行う。
5自治体独自の「財務条例」制定が始まる
○多治見市健全な財政に関する条例(平成19年12月制定、平成20年4月1日施行):1996年財政の非常事態宣言、2001年構造的財政危機に備える目標設定
・一般会計だけでなく、企業会計を含めた全体の財政を捉える。
・独自の数値目標(財政判断指標、財政判断指数)設定により健全性を確保する。
①償還可能年数:負債の低減及び償還能力に対する信用の確保
②経費硬直率:経費の硬直性の解消
③財政調整基金充足率:財源の留保
④経常収支比率:収支の安定性の向上
⑤実態収支:資金繰りの向上
・市民参加、議会の関与をベースとする:市長が行政をコントロールするが、市民、議会が監視する。
・総合計画-財政計画-行政改革大綱の連動と関連を持たせる。
・目標設定は、総合計画策定時、市長の就任時、予算提出時に行う。決算時には結果を公表する。
・財政規律を条例化し、民主的にコントロールすることが重要である。
・自分たちで自分たちをコントロールするツールとして活用してはどうか。
<質疑>
 問 抑制の対象は臨時特例債も含むのか。
 答 最初は借りずに行っていたが、財源不足で臨時特例債で借りている。ズルズルいくと残高が増加する。公債費比率は下がっても、公債費が増加するので、繰り上げ償還などの努力が必要である。
 問 実施計画の大衆討議との指摘だが、首長にどう挑むのか。事業評価書は役に立たない。予算のコスト情報をどう得るのか。
 答 事業別予算は二重手間になるので、行政は嫌がる。多治見市の場合、市長の査定資料を議会に提出した。コスト計算ができるのは財政担当のみ。事業別予算が無理なら、市長の査定資料を要求してはどうか。行政内部の評価は自分たちで切れない。手法が適確かの検証はできない。市民が行政評価を行う仕組みが必要である。
 問 マニフェスト型総合計画への道筋は。
 答 首長選挙を無視しての5年、5年の総合計画は根拠がない。選挙中のマニフェストの検証は市民ができない。行政の継続性と首長の任期を考えると、総合計画の見直しは必要である。

<講座を受講しての所感>
  3月定例会を前にしての特別講座であった。全体の講義は、「地域再生をめざす予算の審議-政策の選択と集中」がテーマで、時期を得たものであった。、
 第1講義の町田氏から「予算書はこう見る-歳出からみる自治体の姿」をテーマに予算の基本、政策との関わり、注目すべき歳出の内容を主に論点が示された。特に、政権交代後の初の国の予算を受けての市の予算審議になることから、福祉関係費の動向(国の政策との関連、補助事業と単独事業)、脆弱化しつつある自治体予算と地域再生について、議論を深めていくことの重要性を学んだ。
 続く第2講義の太田氏からは、市民サービスの最前線に立つ職員の仕事と組織のあり方について示唆に富む講義であった。時代の変化とともに、組織や人事マネジメントのあり方について、機構改革や人事制度の変更などが行われているが、重要なことは、市民サービスのための仕事はどうあるべきか、組織は機能しているのか、職員は意欲を持って仕事をしているのか、ヤル気を殺いでいるものはあるのかなどを常に検証することであると再認識した講義であった。
 最後の第3講義の西寺氏からは、元多治見市長の経験からの活きた講義であった。総合計画という最重要な政策、それを受けての基本計画と実施計画、さらに財政計画との関連付け、今求められる財政規律とは何か、それらを継続的に民主的に行う根拠として、日本で最初に制定された「多治見市健全な財政に関する条例」が紹介された。議会基本条例、自治基本条例を制定した本市として、財務条例は本市の財政の健全性を担保する意味で、さらに調査研究するべき課題であることを強く感じた講義であった。
以上
  

Posted by mc1397 at 14:54Comments(0)TrackBack(0)